IaaSやPaaSといったクラウドサービスは企業にメリットをもたらす一方、オンプレミスとの違いが新たなリスクを生む可能性がある。どのような点に気を付けるべきか、専門家に話を聞いた。
企業の間で、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)といったクラウドサービスの活用が進んでいる。ITインフラの運用負荷を軽減したり、迅速なスケーリング(規模の拡大や縮小)を実現したりするためだ。一方クラウドサービスへの移行が困難なアプリケーションはそのままオンプレミスで運用することも珍しくない。オンプレミスとクラウドサービスを併用した「ハイブリッドクラウド」が、企業のITインフラのクラウド化における通過点として存在している。
企業が運用するアプリケーションの中には、クラウドサービスへの移行が進んでいるアプリケーションもあれば、オンプレミスのまま運用されているアプリケーションもある。それぞれの例は以下の通りだ。
このようにさまざまなアプリケーションが混在する中では、業務ごと、部門ごとにクラウドサービスの利用状況がばらばらなのが現状だ。「クラウドサービスの導入時は、企業ITがオンプレミスだけにとどまっていたときには意識する必要のなかったさまざまなセキュリティホールに注意すべきだ」と、企業ITのセキュリティに詳しい日立ソリューションズの扇 健一氏は指摘する。クラウドサービスの活用で意識すべき脅威とセキュリティ対策には、具体的にどのようなものがあるのか。以下前後編にわたり、クラウドサービスの導入における注意点とその対策を紹介する。
扇氏によれば、クラウドサービスが持つ以下3点の特徴が、オンプレミスだけでアプリケーションを運用していたときには存在しなかったリスクを浮かび上がらせるという。
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