ブランドを守るセキュリティ【前編】
セキュリティは万全か? デジタル技術を活用する前に考えておきたいこと
デジタル技術の活用で顧客体験を高めようとする取り組みの裏には、ブランド毀損(きそん)につながるセキュリティリスクが潜む。企業はデジタル技術を活用する際、どうすればブランド価値を守れるのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、企業のビジネス活動が大きく変わった。企業はパンデミックが収束したとき、パンデミック前に戻るのか、コロナを教訓とした「ニューノーマル」(新常態)に切り替えるのか、ビジネス活動の形を模索している。デジタル技術の活用に関して言えば、前者の選択肢はない。企業はデータ分析に基づいてパーソナライズした顧客体験を目指し、デジタル技術を切り札に新しいビジネスを開拓しようとしている。
ブランド価値を失うリスク “特に危ない”業種は?
併せて読みたいお薦め記事
増えているサイバー攻撃に備えるには
失敗しないための「サイバーセキュリティ保険」の知識
「デジタルファースト」(ビジネスにおいてデジタル技術の活用を優先する考え方)を掲げた企業のビジネス改革を、COVID-19のパンデミックが加速化させている。不要不急の外出を控える要請によって、企業と顧客の“物理的な接触点”が減り、インターネットがビジネスの主な場になってきた。デジタル技術の活用に注力することは企業にとって、もはや死活問題だ。一般消費者を相手にした企業は以前からソーシャルメディアの活用に取り組んできた。こうした企業に限らず、全ての企業がデジタルファーストにかじを切る必要がある。
さまざまなクラウドサービスを使い、大量のデータを分析するためのシステム構築を進める企業の動きが広がっている。その中で注目すべき点は、情報漏えいを防ぐサイバーセキュリティだ。企業は攻撃を受けて顧客情報が流出すれば、顧客の信頼を失い、ブランド価値が大きく下がる恐れがある。
ITコンサルティング企業のInfosysは2021年3月、世界で最もブランド価値の高い企業100社を対象に、情報漏えいによるダメージを試算した調査結果を発表した。それによると、「ブランド価値のリスク」(Brand Value Risk)は金融企業の場合、2020年の純利益の52%相当、消費財メーカーの場合は同114%相当になる。
企業はデジタル技術を活用して顧客の利便性を高めるにつれ、サイバー攻撃の入り口になりかねない脆弱(ぜいじゃく)性の問題にも直面する。各種の情報はパーソナライズした顧客体験を実現するために不可欠だが、ハッカーの標的にもなりやすい。顧客の利便性とセキュリティの両立は簡単なことではない。企業はまずサイバー攻撃を受ける可能性を強く意識し、リスク評価の手法を見直すことが重要だ。
後編は、セキュリティ対策を実施してブランド価値を守るための「5つのポイント」を紹介する。
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