大容量データ向けのHDD【後編】

HDDのマイルストーン「50TB」 大容量化の鍵を握る技術は?

ヘリウム充塡によるプラッタ枚数の増加をはじめ、過去の技術改善でHDDの大容量化は進んだ。将来的には50TBの容量が視野に入っている。Western Digitalはこれをどう実現するのか。

 企業の保有データが多様化する中で、HDDは大容量の企業向けストレージとして引き続き重要な役割を担う。ただしSSDやテープなど他のストレージの容量増加が続くと仮定した場合、HDDが使われ続けるには容量増加を継続し、大容量ストレージとしての優位性を維持することが条件になると考えられる。

 HDDベンダーのWestern DigitalとSeagate Technologyは、2021年に20TBのHDDをそれぞれ発売した。今後の注目点の一つは、HDDがどこまで大容量化し、HDDベンダーがそれをどう実現するのかという点だ。Western DigitalでHDD分野のシニアバイスプレジデントを務めるラヴィ・ペンディカンティ氏は「2030年になる前に容量50TBに到達する見通しだ」と話す。Seagate Technologyも同様に2020年代後半には50TB製品を市場投入するロードマップを公開しており、容量の点ではこの50TBが当面の目標になっている状況だ。

 50TBのHDDは、複数の技術刷新の組み合わせによって開発可能だとHDDベンダーは説明する。前編「SSDに高速性で負けても『HDD』の未来は明るい? 老舗ベンダーの見解は」で触れたヘリウム充塡(じゅうてん)は、大容量化に欠かせない技術の一つだ。ヘリウム充塡はHDD内部でプラッタ(円盤状の記録媒体)に掛かる気流の抵抗を減らし、プラッタの搭載枚数を増やすことに貢献している。

 容量50TBに到達するには、いずれかの技術に頼るのではなく、複数の異なる手法が必要だとペンディカンティ氏は強調する。Western Digitalの場合、20TBのHDDに新たに「OptiNAND」という技術を採用しており、これも50TBを実現する上で重要な技術になる。

50TBのHDD実現に向けた重要技術――OptiNAND、磁気ヘッド、プラッタ枚数など

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大容量データ向けのHDD

データ分析のためのAI(人工知能)技術の活用や、データを収集するIoT(モノのインターネット)デバイスの増加などに伴い、企業の保有データは多様化している。同時に、画像や映像をはじめ、さまざまなデータを保管するストレージの役割が増してくる。その中で今後HDDが担う役割や、HDD大容量化の動向をベンダーの見解を基に紹介する。

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