Western Digitalだけではなく、Seagate Technologyも20TBの2種類のHDDを発売した。両社の20TB製品に違いはあるのだろうか。
Seagate Technologyは大容量ストレージへのユーザー企業の要望に応え、法人向けストレージ用HDDの「Exos」シリーズと、NAS(ネットワーク接続ストレージ)向けの「IronWolf Pro」シリーズで20TBのHDD新製品を発表した。同社のプリンシパルプロダクトマネジャーを務めるシナン・サヒン氏によると、2つのHDDはハードウェアの設計においては基本的に同じだ。
ExosとIronWolf Proの20TBのHDDは、いずれも10枚のプラッタ(円盤状の記録媒体)を搭載し、24時間365日稼働できる設計だ。従来品と比べてプラッタ数は増えているが、筐体(きょうたい)の寸法は変わらない。そのため従来のHDDと交換できる。
サヒン氏は、ExosとIronWolf Proはファームウェアが違うと説明する。Exosは法人向けストレージの用途を対象にしているため、クラウドストレージや大規模なデータセンター向けだ。これに対してIronWolf ProはNASに適している。大規模なデータセンターとNASの違いは、データへのアクセス性にある。大規模なデータセンターにあるデータを利用する場合は、NASよりわずかな遅延が発生する可能性がある。
Exosの20TB版である「Exos X20」のデータ転送速度は最大で285MBps。「これは大容量クラウドストレージとしての使用を想定している」とサヒン氏は説明する。他にもExos X20は4.16ミリ秒の遅延、250万時間の平均故障間隔(MTBF)を実現している。ただしサヒン氏によると、こうしたパフォーマンスの値は使い方次第で変わる。
IronWolf Proの20TB版である「IronWolf Pro 20TB」は中小企業のNAS向けだ。ただし筐体内の振動の問題を軽減する回転振動センサーを備えているので、大企業向けのNASにも向いているという。IronWolf Pro 20TBのデータ転送速度も、Exos X20と同じで最大285MBpsとなっている。
Seagate Technologyによれば、同社は2021年12月時点で約8000台の20TBのHDDを出荷済み。「既に生産は本格化している」とサヒン氏は言う。2021年12月以降、同社の出荷台数はさらに増える見込みだ。
2021年にWestern Digitalも20TBのHDDを発表した。Seagate TechnologyとWestern Digitalが発表したHDD新製品の容量は同じだ。だが調査会社IDCでストレージ分野のリサーチディレクターを務めるエド・バーンズ氏は、両社のHDDには明確な違いがあると話す。
Western Digitalの20TB HDDはプラッタ数が9枚で、NAND型フラッシュメモリを搭載する「OptiNAND」という技術を採用している。データの記録方式としては「ePMR」(Energy-assisted Perpendicular Magnetic Recording:エネルギーアシスト垂直磁気記録方式)を採用。「ePMRにより、9枚のプラッタの面密度を高めて20TBへの大容量化を実現している」とバーンズ氏は説明する。これに対して、Seagate Technologyはプラッタを1枚増やすことでCMRのまま20TBを実現している。
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