「Discord」ユーザーを狙うマルウェアが見つかったことに際して、セキュリティ専門家はオープンソースソフトウェアのリポジトリを悪用する攻撃への注意を促している。その背景は。
DevOps(開発と運用の統合)ツールベンダーJFrogは、ゲーマー向けボイスチャットツール「Discord」のユーザーを狙う17個の悪質なパッケージ(拡張機能群)を発見した。これらのパッケージは、「Node.js」用のパッケージ管理ツール「npm」のリポジトリ(保管場所)に存在していた。Node.jsは「JavaScript」のサーバサイド実行環境であり、オープンソースソフトウェアだ。Discordの運営元であるDiscord社をはじめ、さまざまな大企業が使っている。
JFrogのセキュリティ研究者アンドレー・ポルコフニチェンコ氏とシャシャー・メナシュ氏は、攻撃者がリポジトリでマルウェアをホストするのは「現在のトレンドだ」と警告する。両氏は同社公式ブログのエントリ(記事)で以下のように解説する。
最近の攻撃者は、オープンソースソフトウェア用の公開リポジトリでマルウェアをホストして配布しています。公開リポジトリは、マルウェアを配布するための便利なツールになりつつあります。マルウェア対策ソフトウェアやファイアウォールは、リポジトリを運用するサーバを「信頼できるサーバ」だと見なし、そうしたサーバとの通信を検査対象外にする場合があるからです。タスク自動化ツールの普及で、公開リポジトリにあるパッケージを簡単にインストールできるようになったことも、格好の攻撃対象を生む要因だと言えます
2021年11月に公開したエントリでも、JFrogはリポジトリでホストされる別のマルウェアの例を取り上げた。それは、プログラミング言語「Python」用のリポジトリ「Python Package Index」(PyPI)を悪用するものだ。このマルウェアはPyPIとの通信を偽装する。メナシュ氏は、ソースコード共有サービス「GitHub」が2021年11月、npmにある人気パッケージを使用するアカウントに2要素認証を要求するよう決定したことにも触れ、npm利用時のセキュリティの重要性を強調する。
Discord社の広報担当者は、同社のセキュリティへの取り組み方針を次のように説明する。
Discordのセキュリティ確保はわれわれの優先事項です。Discordユーザーに影響が及ぶ前に検出するために、われわれは先回りしたスキャンと、外部からの報告を組み合わせて活用しています。攻撃のためにDiscordを悪用する攻撃者を見つけ出し、一掃しようと積極的に取り組んでいます。そうした事例や悪質な行為を見つけたら、攻撃に関わるコンテンツを削除し、攻撃者に適切な措置を講じます
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