APIがさまざまなアプリケーションの中核に位置するようになった現代、攻撃から保護するためのAPIセキュリティは重要だ。企業が取り組むべきAPIのセキュリティ対策を、複数の専門家が解説する。
API(アプリケーションプログラミングインタフェース)が標的となる攻撃に備えるためのセキュリティ対策は、どうすれば実現できるのか。専門家によると、APIのセキュリティを確保するには、さらなる努力と対策の優先順位付けが必要だ。
コミュニケーションは、API開発の全段階で重要になる。スムーズなコミュニケーションには、ある程度の成熟が欠かせない。「コミュニケーションが欠如している企業は多い」と、Akamai Technologiesでセキュリティ戦略部門の最高技術責任者(CTO)を務めるパトリック・サリバン氏は述べる。同社のレポート「The State of the Internet」は、「API開発にはさまざまな部門や人が関与する必要がある」と指摘する。具体的には開発部門、ネットワーク/セキュリティ運用部門、法務部門、コンプライアンス部門などだ。
「現在のAPIセキュリティの大きな課題は、関係者間のコミュニケーション不足だ」。APIセキュリティベンダーNoname Gate(Noname Securityの名称で事業展開)の最高情報セキュリティ責任者(CISO)カール・マトソン氏は、こう説明する。
マトソン氏は「関係者はそれぞれ異なる『楽譜』を使用している」と、例え話を交えてコミュニケーションの重要性を説明する。自社が使用しているAPIは何か。どのようにAPIを構成したのか。APIがリスクにさらされているかどうか。アプリケーション稼働時に起きていることは何か――。部門や人ごとに持っている情報は違う。そのため「何を優先し、どのような結論に達するかが人によって異なるのは当然だ」と同氏は語る。
APIにセキュリティ対策を導入する方法として、調査会社Forrester Researchでプリンシパルアナリストを務めるサンディ・カリエリ氏が挙げるのは、APIの仕様書ファイルを活用する方法だ。仕様書ファイルを作成してAPIを最新の状態に維持するには、セキュリティ部門と開発部門間の効果的なコミュニケーションが欠かせない。仕様書で定義した形式のAPI呼び出しのみを受け付けるようにすれば、有効なセキュリティ対策となる。これは従来のアプリケーションセキュリティでも導入されてきた手法だ。
次々と新しいAPIが誕生する現代でも、「従来のセキュリティモデルを使用するようセキュリティ部門に依頼することが最善のシナリオだ」とサリバン氏は話す。これはAPI開発時に部門間でコミュニケーションを取り、セキュリティ部門がAPIのセキュリティ対策を支援するということだ。
ただし「部門間コミュニケーションに時間をかけ過ぎてはいけない」とサリバン氏は指摘する。「セキュリティ部門に本当に必要なのは、開発部門を支え、開発部門が『今週中に1000個のAPIを作成しよう』と言える環境を整えることだ」というのが同氏の意見だ。
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