インタフェースにNVMeを採用する、フォームファクタを変えるなど、HDDの進化に関するさまざまな議論が持ち上がっている。専門家が解説する注目点は。
中編「クラウドベンダーは『SMR』HDDを積極採用か オンプレミスのHDD導入傾向は?」に続き、専門家によるHDDの技術進化のポイントを紹介する。
Toshiba America Electronic Componentsのエンジニアリング・品質・戦略計画担当バイスプレジデント、ラグー・グルランガン氏 HDDのインタフェースは長い間、SATA(Serial ATA)とSAS(Serial Attached SCSI)だったが、現在はNVMe(Non-Volatile Memory Express)に関する議論が活発化している。NVMeは主にフラッシュストレージのインタフェースとして使用されている。HDDのインタフェースとしてNVMeを利用できれば、ストレージを制御するソフトウェアスタックを簡素化でき、業界にとってのメリットになる。
クラウドベンダーや大規模なストレージシステムを管理する企業は、NVMeを利用することで、ストレージのソフトウェアスタックを大幅に簡素化できる。PCI Express(PCIe)のスロットに直接接続できるため、ハードウェア面の構成をシンプルにできる利点も見込める。フラッシュストレージとHDDを1つの筐体(きょうたい)に共存させることも可能だ。ただし、これがどの程度現実的で、そもそも実現可能な技術なのかどうかはまだ不明だ。HDDの観点では、SATAやSASと共存できるインタフェースが1つ増えることは大きな進歩になる。今後3〜5年以内に実現に向けた機運が高まる可能性があるが、具体的な時期の予測は難しい。これを実現するには、筐体の設計やテスト、バグの修正などさまざまな作業が必要になる。
クラウドベンダーは、コスト効率を高めるためにより良いストレージ筐体のフォームファクタ(形状やサイズなどの仕様)を求めている。HDDの容量を増やす方法には、記録密度の向上とプラッタ(円盤状の記録媒体)数の増加という2つの手段がある。1つの筐体に搭載可能なプラッタ数には限界があるため、「新しいフォームファクタを開発したい」「ストレージ用に広く採用されている4U(ユニット)のボックスの容量を増やす最善の方法を知りたい」という課題が持ち上がる。
新しいフォームファクタ開発の可能性は誰も排除していない。これまでの議論の中心は筐体の高さの変更だ。だが筐体を高くすることは難しく、それ以外のサイズを変えるのはさらに難しい。そもそもプラッタのサイズを変更するのが簡単ではないからだ。プラッタのサイズを変更するには、電力消費量やデータ読み書き速度など、さまざまな要素を考慮する必要がある。
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