HDD大容量化を目指すWD、Seagate、東芝【前編】
40TBのHDDも実現 大容量化技術「MAMR」「HAMR」はどこまで製品化した?
長年の歴史を持つHDDが転換期を迎えている。注目すべきは、Western Digital、Seagate Technology、東芝デバイス&ストレージが投入する、新技術を搭載した新製品だ。最新動向を追う。
HDDはまだこれからも大いに活躍するだろう。数カ月前に容量16TBモデルの出荷が始まったかと思えば、今度は18TBや20TBのさらに大容量化したHDDが登場するという。
注目度で見れば、データ読み書きの高速なパフォーマンスを実現するNANDフラッシュメモリや、Intelの新世代メモリ「Optane」によるストレージの進化の方が高いだろう。だが低コストの大容量ストレージの重要性は、今後も変わらない。大規模なデータセンターを運営する企業やパブリッククラウドベンダーが必要としているからだ。
Western Digital(以下、WD)は、容量18TB、20TBのヘリウム充填HDDのサンプル出荷を開始する計画を発表した。これらはディスク9枚を搭載し、「エネルギーアシスト記録方式」を初めて採用する。エネルギーアシスト記録方式は、磁化(S極、N極)の反転が難しい高保磁力の磁気媒体であっても、外部から何らかのエネルギーを付与することで、データの書き込みを可能にする技術の総称だ。2019年末までに特定のストレージベンダーや大規模クラウドベンダーなどの顧客に対して製品サンプルを提供し、2020年上半期に量産を開始する。
Seagate Technology(以下、Seagate)、東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝デバイス)、WDの3社はいずれも、HDDの高密度化を実現するために、エネルギーアシスト記録方式を採用した製品開発を進めている。「MAMR」(Microwave Assisted Magnetic Recording:マイクロ波アシスト磁気記録)方式と、「HAMR」(Heat Assisted Magnetic Recording:熱アシスト磁気記録)方式というエネルギーアシスト記録方式だ。
「MAMR」「HAMR」の採用状況は
WDの新製品である容量18TBの「Ultrastar DC HC550」は、データ記録方式として以前から使われている「CMR」(Conventional Magnetic Recording:従来型磁気記録)方式を採用。CMRは記録領域同士が隣接した状態でデータを書き込む方式だ。容量20TBの「Ultrastar DC HC650」は、記録領域を瓦屋根のように重ね合わせることで面記録密度を高める「SMR」(Shingled Magnetic Recording:シングル磁気記録)方式を採用している。WDでデータセンター向けHDD製品を担当するレニー・シャープ氏によると、これらの製品はMAMRの技術を部分的に採用し、エネルギーアシスト記録方式用の磁気ヘッド(データを書き込むための装置)を用いている。ただし完全にMAMRを採用したわけではないという。
MAMRの開発と改良を進めるWDは、同時にHAMRの開発も続けるという。同社はまだ、エネルギーアシスト記録方式を完全に使用するHDD製品のロードマップを明らかにしていない。
SeagateはHAMRの開発を順調に進め、2020年には容量20TB超のHDD、2023年までには同40TB超のHDDを実現する計画だ。同社の広報担当者は、HDDのデータ転送速度を倍増させるマルチアクチュエータ技術「MACH.2」による性能向上にも引き続き取り組むと語る。
東芝デバイスは大容量HDDのロードマップを明らかにしておらず、「ディスク9枚を搭載したヘリウム充填HDD製品の先駆けである」と述べるにとどまっている。東芝デバイスはディスク9枚を搭載した容量14TBのHDDを始めて製品化した。
東芝デバイスがいち早くディスク9枚のHDDを採用したことは「今考えると、エネルギーアシスト記録方式以外の方法で面記録密度をこれ以上高めるのは難しいことを表していた」と、調査会社TRENDFORCUSのバイスプレジデントであるジョン・チェン氏は語る。「2020年には、どのHDDベンダーもディスク9枚搭載のHDDを採用するだろう」(チェン氏)
チェン氏によると、HDDベンダー各社はディスク枚数増加以外にも、記録容量の増加や記録密度の向上によって生じる課題の解決策を検討しているようだ。例えば、直径をやや大きくしたディスクを使って容量を増やしたり、データを読み取る磁気ヘッドのリーダーを2つにする「TDMR」(Two Dimensional Magnetic Recording:二次元磁気記録)を採用したりする方法だ。
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HDD大容量化を目指すWD、Seagate、東芝
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