RPOやRTOへの影響も考慮
「オフラインバックアップ」の基本とは? ランサムウェア対策“徹底”のこつ
「オフラインバックアップ」はランサムウェア対策にも有効な手法だ。これを正しく実施するには、幾つか押さえておくべき点がある。バックアップと復旧の“こつ”を、4つの視点で紹介する。
「オフラインバックアップ」とは、ネットワークから切り離した場所に保存するバックアップや、システムを停止した状態で実施するバックアップを指す。これは主に、アクセス頻度の低い長期保存データや、ビジネスクリティカルではないデータの保存に使用されてきた手法だ。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃の活性化を受け、アクセス頻度の高いデータに関しても、オフラインバックアップを実施する動きが広がっている。オフラインバックアップでは、攻撃者の“手の届きにくい”システム環境でデータを保存することになるため、特にランサムウェア対策として有効だ。オフラインバックアップを適切に実施するには、幾つかのポイントを考慮する必要がある。
「オフラインバックアップ」を正しく実施する4つの視点
1.ストレージの管理に掛かる手間
オフラインバックアップでは基本的に、ネットワークから切り離されたオフサイト(遠隔地)でバックアップデータを保管することになる。ストレージとしては主にテープが使われる。ストレージをネットワークに接続しないことで安全性を高めることができる半面、IT担当者はオフサイトに出向いてストレージの管理をしなければならない。その作業には脆弱(ぜいじゃく)性を修正するためのソフトウェアアップデートが含まれる。これは人手不足に直面している企業にとって課題になる。オフラインバックアップを導入するのであれば、こうした管理作業のための人的リソースを確保できることが条件になる。
2.バックアップシステムへの侵入
オフラインバックアップは本番稼働中のシステムから切り離されているとはいえ、攻撃者に侵入されるリスクがゼロというわけではない。バックアップデータへのアクセスを防ぐには、厳密に監視する必要がある。具体的には、
- ネットワークの分離
- ネットワーク接続する時間の制御
- ユーザーの権限管理
などによって、アクセスを厳密に制御することが対策になる。
他には、バックアップデータの「イミュータビリティ」(不変性)と「インデラビリティ」(消去不能性)も重要だ。バックアップデータを読み取り専用にすることで、承認されない限りデータに変更を加えることができなくなる。仮に攻撃者がオフラインバックアップシステムにアクセスできたとしても、データの漏えいや破損を防ぐことが可能だ。
3.「RPO」や「RTO」の影響
オフラインバックアップを実施する際は、バックアップを実施するために業務やシステムを停止できる時間帯である「バックアップウィンドウ」を設ける必要がある。それと同時に、以下2つを明確にしなければならない。
- RPO(目標復旧時点)
- どの時点までのデータを復旧するかを示す。
- RTO(目標復旧時間)
- 復旧までに要する時間を示す。
バックアップウィンドウはRPOに影響する。復旧が必要になった場合にビジネスへの悪影響をできる限り抑えるには、RTOを適切に計画することが重要であり、RTOにはバックアップするデータ量が影響する。
4.クラウドサービス利用時
近年は、クラウドサービスでオフラインバックアップを実践することも可能になっている。クラウドサービスの場合、クラウドベンダーがバックアップデータをオフサイトに保存する。ユーザー企業にとっては運用負荷の軽減になる。オフラインバックアップをクラウドサービスで実施する場合は、バックアップデータをクラウドサービスに送信する仕組みが必要だ。
クラウドサービスを利用する場合には注意点がある。クラウドサービスを使うことで、バックアップデータを本番稼働中のシステムから隔離することはできるものの、完全にネットワークから切り離すことにはならない。そのため、これがランサムウェア攻撃につながる可能性はゼロではない。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
比較資料
[セコムトラストシステムズ株式会社] 「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 過去にRPA導入をあきらめた企業こそ知っておきたい 失敗しない自動化導入術 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 京セラコミュニケーションシステムに学ぶ、製造業の現場でAIを定着させる方法 -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] 元ヤンマーCIOの矢島氏が語るDXの本質:日本企業が陥った4つの落とし穴と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
4
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
年収が増えても幸せになれない 給与増でエンジニアが直面する「幸福度の壁」
-
7
便利機能が「裏口」に コンテナの安全を脅かす“監視の穴”とは
-
8
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
9
「野良Excelマクロ」に悩むSMBC日興証券が導き出した内製化の“現実解”
-
10
「Linux」の脆弱性を生むのは誰か? ベテラン開発者の意外なミス
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
8
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー