夢の「週休3日制」実現への道【後編】
「週4日勤務」はなぜ実現しない? 導入に後ろ向きな企業の本音
企業の週4日勤務制勤務導入に向けて、米国の複数の州議会で法案が提出された。導入への機運は高まっているように見えるが、実施には至っていない。週4日勤務制の実施で生じるメリットとデメリットを整理する。
企業の週休3日制(週4日勤務制)勤務導入に向けた法案が、米国の複数の州議会に提出されている。2022年2月、カリフォルニア州議員が提出した法案「Assembly Bill 2932」は、500人以上の従業員を雇用する企業に対して、1週間の労働時間を40時間から32時間に削減することを求めるものだ。カリフォルニア商工会議所(California Chamber of Commerce)は同年、Assembly Bill 2932を「ジョブキラーリスト」に加えた。ジョブキラーリストは1997年から毎年同会議所が発表しているもので、経済に悪影響を及ぼすと思われる法案をリスト化したものだ。Assembly Bill 2932をリストに追加した理由は「人件費を大幅に増加させる」からだ。
2023年4月にはペンシルベニア州議会で法案「HB1065」が、2023年5月にはマサチューセッツ州議会に法案「Bill H.3849」が提出された。この2つの法案は週4日勤務制の導入に加え、自主的に週労働時間を短縮した企業に税額控除を適用する、パイロットプログラムを創設するという案を盛り込んでいる。
パイロットプログラムで「週休3日」は実現できるか
併せて読みたいお薦め記事
連載:夢の「週休3日制」実現への道
週4日勤務は是か非か
調査会社Gartnerでアナリストを努めるエミリー・ローズ・マクレー氏は「企業にインセンティブを与え、試行を促す」パイロットプログラムの創設を望ましい取り組みだと指摘する。
Gartnerが2023年6月に公開した資料「The 4-Day Work Week, Explained」によると、「週4日勤務でも週5日勤務と同じ賃金を得られること」が、求職者に入社を促すインセンティブとして最も影響力があることがわかった。
人事調査会社Global Workplace Analyticsでプレジデントを務めるケイト・リスター氏は、「税制上の優遇措置を取ることが、州のパイロットプログラムに企業が参加するきっかけになる可能性がある。しかしこうしたプログラムが成功するかは、どう実行するかにかかっている」と同氏は指摘する。
週4日勤務制を導入する際の問題として、経営層のサポート不足や、顧客サービスの質の低下がある。従業員が休みを取りがちな月曜日や金曜日に、顧客サービスの質が低下しがちだとリスター氏は指摘する。勤務する従業員が「休んでいる人の分まで働かなければならないとプレッシャーを感じる」という問題もある。
2023年11月、クラウドファンディングプラットフォームを運営するKickstarterの最高戦略責任者(CSO)兼サステナビリティ(持続可能性)部門の責任者を務めるジョン・リーランド氏は、マサチューセッツ州議会公聴会に出席した。同氏は同社が2022年4月から週4日勤務制を導入していることを語った。
Kickstarterの従業員数は約120人だ。「われわれの業務生産性は上がり、目標達成力も向上した。従業員の定着は、もはや課題ではなくなっている」リーランド氏はこう言う。
従業員エンゲージメントも向上したとリーランド氏は自身の見解を話す。「『2年後もKickstarterで働いている』と考える従業員が増えている。こうした従業員の割合は以前よりはるかに高くなっている」(リーランド氏)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
SNS認証や多要素認証も数分で実装、IDaaS基盤でデジタルビジネスはどう変わる? -
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「即戦力」は幻想? 中途の3割が消えるAI時代のエンジニア生存戦略
-
6
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
7
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
8
PCリプレース時には注意 不完全なデータ消去が情報漏えいのリスクに
-
9
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
10
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
AIエージェントで成果は出る? 調査結果に見る費用対効果の実態
-
9
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
10
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー