非営利団体4 Day Week Globalが実施した、週4日勤務の生産性の調査結果に対して「調査根拠が不明確だ」との批判の声がある。これに対して同調査の研究主任が「不完全でも調査には意義がある」と反論する理由とは。
「週4日勤務(週休3日制)は企業にとってメリットがある」という見解の支持者と、その主張に反対意見を持つ者の間で、議論が巻き起こっている。非営利団体4 Day Week Globalは週4日勤務の生産性を検証する6カ月間の実証実験を実施。2022年9月21日(現地時間、以下同じ)に3カ月時点の中間調査の結果を発表した。調査対象は、実証実験に参加している英国企業約70社の従業員約3300人で、結果はおおむね肯定的なものだった。一方で、この調査は信用に値しないと考える研究者も複数いた。
Boston College(ボストンカレッジ)の社会学教授で、4 Day Week Globalの研究主任も務めるジュリエット・ショア氏は、調査の問題点を一部認めながらも、「週4日勤務について企業の検討を促すためには、このような実証実験が必要だ」と述べる。
米国のシンクタンクCenter for Economic and Policy Researchの共同設立者でシニアエコノミストのディーン・ベイカー氏は、4 Day Week Globalの調査について「生産性の測定方法が不明確だ」と、2022年9月22日に公開したブログのエントリ(投稿)で指摘している。調査結果に対して客観的な評価を下すための一般的な手段として、調査対象を2個以上のグループにランダムに分けて、調査結果を比較・検証する「ランダム化比較試験」(RCT)がある。ショア氏は「RCTは確かに“ゴールドスタンダード”だ。しかし、どうすれば企業にRCTを承諾してもらえるのだろうか」と問い掛け、「企業にRCTに参加してもらうには、まずこのような調査を実施する必要がある」と主張する。
ショア氏によると、4 Day Week Globalは生産性を測定するために、企業から収益データを集め、生産性データを持っている企業からはそれも集めた。「大抵の企業は生産性に関するデータを持っていない」と同氏は指摘する。KPI(重要業績評価指標)などの指標はあるが、測定しやすい生産物がないという。ほとんどがホワイトカラー(非製造)企業だからだ。「週4日勤務が効果的であると回答した企業の自己報告をありのままに受け止め、その上でこの非常に重要な変革に関する、さらなる研究に時間と労力を投じてほしい」(同氏)
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授と富士通の瀧澤健氏が「サステナビリティへの取り組みと持続可能な成長の両立」をテーマに対談を行った。本資料では、企業の在り方が多角的・本質的な視点で議論された本対談を抜粋して紹介する。
サプライチェーンリスクが多様化する中、いかにして適切なリスクマネジメントを実践し、持続可能なサプライチェーンを構築していくかが大きな課題になっている。課題を解消し、サプライチェーン変革を実現するためのヒントを紹介する。
サプライチェーンは市場の大きな変化と、自社IT環境における山積する課題に直面している。本資料ではその背景を考察しつつ、AIを活用したアプローチで、サプライチェーン変革を成功に導くデータインサイト実現の方法を解説する。
企業の税務部門は、増大する業務量や表計算ソフトの利用による非効率性に直面している。これらは経営・運営・業務などに影響を及ぼし、組織全体のパフォーマンスを低下させる要因となる。そこで注目したいのが、税務業務の自動化だ。
商流管理や原料管理などのデータを1つのExcelファイルに集約して計算していた加藤産業では、マクロ処理におけるメンテナンスの属人化などを解消すべく、新たな手段を模索していた。そこで選ばれたアプローチと、その効果とは?
「Fit to Standard」と「柔軟性」を、中堅企業はどう両立させたのか? (2025/7/11)
ERPからあぶれたスキマ作業をどうする? RPAやBIでは解決できない理由 (2025/4/4)
マンガで解説:紙と「Excel」の販売管理から卒業したい 実現しやすい方法は? (2025/4/2)
制度変更で取引先が数千件増える? 3カ月でシステム構築できた事例 (2025/3/25)
人事管理システムの選び方 失敗しないポイントは? (2024/9/18)
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...