高速SSD「Optane」の“後継”はあのストレージ?フラッシュメモリ「35年」の進歩と歴史【第3回】

フラッシュメモリの一大イベント「Flash Memory Summit」で、SSDやNAND型フラッシュメモリに関するさまざまな発表があった。Optaneの事業終了を含め、専門家が注目したポイントは。

2022年11月09日 05時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

 フラッシュメモリのカンファレンス「Flash Memory Summit 2022」では、メモリベンダーからさまざまな話が出た。Intelが不揮発性メモリ「Intel Optane」の事業撤退を明らかにする中、SSDやNAND型フラッシュメモリに関する新しい話題も飛び込んできた。ストレージの専門家が特に注目した点は。

「Optane」の穴を埋める高速ストレージは?

 Flash Memory Summit 2022では、メモリベンダーから新製品の発表が相次いだ。より大容量になったSSD、汎用(はんよう)インタフェース規格「PCI Express 5.0」(PCIe 5.0)に準拠したSSDなどがあった。PCIe 5.0準拠のSSDを発表したのはキオクシアとSamsung Electronicsだ。

 キオクシアは企業向けのSSD「KIOXIA CM7」のシリーズを発表し、PCIe 5.0準拠のラインアップを拡充した。KIOXIA CM7には、「2.5型」と「EDSFF」(Enterprise and Datacenter Standard Form Factor)の両フォームファクタのモデルがある。3次元(3D)NAND型フラッシュメモリ技術「BiCS FLASH」を採用したことも、KIOXIA CM7の特徴だ。

画像 キオクシアのSSD「KIOXIA CM7」(出典:キオクシアプレスリリース)《クリックで拡大》

 PCIe 5.0は、まだ十分に市場に浸透しているわけではない。だが調査会社TRENDFOCUSのバイスプレジデントであるドン・ジャネット氏は、キオクシアがPCIe 5.0準拠のSSDに力を入れることには、ある狙いがあるとみる。キオクシアの主要顧客は、いずれは新しいストレージインタフェースに移行することになる。「その際にすぐに検討してもらえるように、早期に製品を発売する戦略だと考えられる」(ジャネット氏)

 調査会社Coughlin Associatesのプレジデント、トム・カリフン氏が注目するのは、高速な読み書き性能を備えた不揮発性(電源を失ってもデータを保持する特性)のメモリである、ストレージクラスメモリ(SCM)だ。こうしたメモリにはニッチな需要があるという。Intelが不揮発性メモリ「Intel Optane」(以下、Optane)の事業終了を発表したことから、「『KIOXIA FL6』など、SCMを採用した製品がその穴を埋める可能性がある」とカリフン氏は語る。

 読み書きの高速性を売りにしていたOptaneが選択肢から消えることで、それを代替する製品のニーズが生まれる。「特に1つのメモリセルに1bitのみを格納する『SLC』(シングルレベルセル)のNAND型フラッシュメモリを搭載するSSDにビジネスチャンスがある」とカリフン氏は言う。例えばKIOXIA FL6シリーズは、SLCのNAND型フラッシュメモリを搭載することで、読み書き性能と耐久性を追求した製品だ。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news079.jpg

狙うは「銀髪経済」 中国でアクティブシニア事業を展開する企業とマイクロアドが合弁会社を設立
マイクロアドは中国の上海東犁と合弁会社を設立。中国ビジネスの拡大を狙う日本企業のプ...

news068.jpg

社会人1年目と2年目の意識調査2024 「出世したいと思わない」社会人1年生は44%、2年生は53%
ソニー生命保険が毎年実施している「社会人1年目と2年目の意識調査」の2024年版の結果です。

news202.jpg

KARTEに欲しい機能をAIの支援の下で開発 プレイドが「KARTE Craft」の一般提供を開始
サーバレスでKARTEに欲しい機能を、AIの支援の下で開発できる。