コンシューマー市場においてもデータセンターにおいても広く使われているSSD。NAND型フラッシュメモリの積層数を軸に、SSDの今後を見通してみよう。
SSDの技術進化が目覚ましい。Micron Technologyが手掛けるNAND型フラッシュメモリは、1つのメモリセルに3bitを格納する「TLC」(トリプルレベルセル)の記録方式を採用しつつ、メモリセルの積層数において200層を超えた。
NAND型フラッシュメモリの積層数について、一般のコンシューマーはほとんど意識していない。ITの専門家でさえもほとんど意識していないが、SSDの今後を考えると積層数は極めて重要だ。
2022年7月26日(現地時間)、Micron Technologyはメモリセルの積層数を従来の176層から232層へと飛躍させたNAND型フラッシュメモリの出荷を開始することを明らかにした。同社の新しいNAND型フラッシュメモリは、従来品よりもサイズが縮小し、電力消費の効率が向上した。
Micron Technologyは、この新しいNAND型フラッシュメモリを、まずはコンシューマー向けSSDに搭載する。その次はデータセンター向けSSDにも搭載する計画だ。
調査会社Gartnerのアナリストであるジョセフ・アンスワース氏によると、ストレージ市場は低価格のSSDを渇望している。Micron Technologyの232層のNAND型フラッシュメモリは、そのニーズに合致するものだ。「Micron Technologyは176層に続いて232層を製品化したことで、技術面でのリーダーシップを維持している」と、アンスワース氏は話す。
232層のNAND型フラッシュメモリは何がすごいのか。Micron Technologyのデータセンターストレージ担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのアルバロ・トレド氏は、「232層の製品に移行できたのは、より小さな面積に、データをより高密度に格納できるようになった結果だ」と説明する。
トレド氏によれば、同社の232層NAND型フラッシュメモリは、米国の切手よりも小さなパッケージに最大2TBのデータを格納することができる。このNAND型フラッシュメモリは、TLCのNAND型フラッシュメモリとしては、1平方ミリメートル当たりの面密度(面におけるデータの記録密度)が最高水準にある。これにより、より小さな空間に、より多くのストレージを配置できるようになり、ストレージアレイの総所有コスト(TCO)の節約につながる可能性がある。
積層数と面密度の向上がコスト面でのメリットにつながることへの期待感については、アンスワース氏も同意見だ。さまざまなアプリケーションがSSDを使用するようになる中で、「232層は安価なNAND型フラッシュメモリへの道筋を示す」と同氏は話す。例えば同じ価格帯でより大容量のSSD、あるいは同じ容量で、より低価格帯のSSDが登場する可能性がある。
ただしSSDの価格について確かなことは言えない。製造コストが下がれば販売価格も下がるはずだが、SSDの価格はさまざまな要素の影響を受けるので、市場におけるその時々の状況によって変動する。
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