1987年に東芝が発明したNAND型フラッシュメモリは、現代に欠かせない記憶媒体になった。35年にわたって進化を続けてきた、その歴史を振り返る。
フラッシュメモリは1959年から存在している。1984年にNOR型フラッシュメモリ、1987年にNAND型フラッシュメモリが登場した。その後、利用が大きく広がったのはNAND型フラッシュメモリの方だ。なぜ35年にわたって使われ続けることができたのか。
「拡張性や記録密度、価格においてNAND型フラッシュメモリは優れていた」。キオクシアのエンタープライズおよびクラウドストレージ担当シニアディレクターのキャメロン・ブレット氏は、そう説明する。
NAND型フラッシュメモリを搭載するSSDは、HDDと並ぶ2大ストレージの一つになった。HDDはSSDよりも低価格になる傾向があるが、専有面積が広くなる。SSDは市場において優位を占めつつある。
1991年に、SanDisk(2016年にWestern Digitalが買収)がNAND型フラッシュメモリを搭載したSSDを商品化した。1999年には画像データを保存するためのSDカードが登場し、NAND型フラッシュメモリの用途を広げた。「コンシューマーはSDカードのモビリティ(可搬性)を体験し、すぐに満足した」と、キオクシアのメモリビジネス担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのスコット・ネルソン氏は語る。
NAND型フラッシュメモリは、小型の音楽プレーヤーにも使われるようになった。カセットテープやCDのような、音楽用の記録媒体は過去のものになった。
フォームファクタ「M.2」によってSSDは小型化し、軽量で可搬性の高いノートPCに搭載されるようになった。ノートPCだけではなく、スマートフォンやIoT(モノのインターネット)デバイスにもNAND型フラッシュメモリは使われている。
コンシューマー市場に浸透したSSDは、データセンターでも利用が広がり始めた。「NAND型フラッシュメモリは、読み書き性能や設置面積などにおいて、HDDにはない利点をもたらした」とネルソン氏は語る。
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