Microsoftの「Azure VM」には「Spot VM」という料金プランや「開発/テスト価格」「ハイブリッド特典」という割引制度があり、これらは利用料金の節約に役立つ。それぞれの特徴と、利用時の注意点を説明する。
Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」にある仮想マシン(VM)サービス「Virtual Machines」(以下、Azure VM)は、複数の料金プランを用意している。本稿はその中から「Azure Spot Virtual Machines」(Spot VM)を詳しく説明する。
Spot VMとは、ユーザー企業がAzureデータセンター内の未使用のリソースを利用することで、安価にインスタンス(仮想サーバ)を利用できるようにした料金プランだ。ユーザー企業は、その都度必要な容量のSpot VMを購入することで利用できる。ただしSpot VMは、Microsoftが予告なく停止する可能性がある。Spot VMの可用性は、Azureの需要次第だ。
ユーザー企業はSpot VMを利用することで、Azure VMの標準的な料金プラン「従量課金制」(Pay as you go)の料金と比較して、約90%の割引が受けられる。Azure VMのインスタンスタイプ「D2as v4」をAzureの東日本リージョン(Japan East)で、Spot VMとして利用すると、利用料金は1カ月当たり約9.052ドルから、1時間当たり0.0124ドルからになる。
Spot VMで実行するワークロード(アプリケーション)は、インスタンスの中断を許容できるものに限られる。例えば大量のデータを処理する分析ツールで、処理途中で一時的にツールの動作が停止しても問題がない場合は、Spot VMが適切な選択肢になる。常に利用可能な状態にする必要があるアプリケーションのインフラには、Spot VMは適さない。
Azure VMの利用料金を抑えるには、ワークロードに適したインスタンスタイプと料金プランを選ぶことが重要だ。MicrosoftがAzureで提供する割引制度を利用することで、利用料金を削減できる場合がある。
検討すべき割引制度の一つが「Azure開発/テスト価格」(Azure Dev/Test pricing)だ。Azure VMでは、ワークロードの開発やテストを目的に使用するインスタンスは、通常の従量課金制の利用料金と比べて、最大60%の割引が受けられる。
Azure VMのコスト削減に役立つもう一つの割引制度が「Azureハイブリッド特典」(Azure Hybrid Benefit)だ。Azureハイブリッド特典では、MicrosoftのクライアントOS「Windows」やリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の「Microsoft SQL Server」など、既にユーザー企業が所有しているオンプレミスのMicrosoft製品のライセンスをAzureで再利用できる。AzureでWindowsのVMを運用する予定なら、Azureハイブリッド特典の利用を検討する価値がある。ただしAzureハイブリッド特典では、OSに「Linux」を搭載したインスタンスのコストは削減できない。
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