クラウド“無駄コスト”はどこから削る? 最適化の落としどころクラウドストレージの無駄に切り込む【第4回】

クラウドサービスはリソースを追加しやすい。これはオンプレミスインフラと大きく異なる点だ。結果としてコストが必要以上に高くなることがある。無駄はどこから削っていけばいいのか。

2022年08月25日 05時00分 公開
[Stephen PritchardTechTarget]

 クラウドサービスはサーバやストレージのリソースを簡単に追加できる。これはクラウドサービスの利点である半面、コストのコントロールを失ってしまう要因にもなっている。「大き過ぎるバケツのような無駄がある」と、クラウドサービスの料金最適化サービスを手掛けるArchera.aiのCEO、アラン・カンナ氏は語る。無駄はどこから削っていけばいいのか。

クラウドの無駄はどこから削る? コスト最適化の勘所

 無駄を省くための基本は、不要になったインスタンス(仮想マシン)をシャットダウンしたり、リソース量を変更したりすることだ。状況に応じて自動的にリソース量を変更する「オートスケーリング」の機能を使用しないことも、無駄の要因になる。

 カンナ氏は、まず着手すべき点はテストや開発用の冗長なサーバを見つけ、それらをオフラインにすることだと話す。営業時間外や混雑していない時間帯にシステムをスケールダウン(リソース量を減らすこと)することも有効だという。

 ストレージのコスト抑制の方法としては、利用頻度の低いデータをより安価なストレージクラス(クラウドストレージの種別)に移行することや、専用のアーカイブ用ストレージに移行することなどがある。

 オンプレミスインフラの場合、常にハードウェアのリソース量の限界を考慮しなければならない。一方で、クラウドサービスはコストを考慮せずに簡単にリソースを追加できる。ここに落とし穴がある。「ビジネス要件に応じてクラウドサービスのコストをコントロールするには、積極的な管理が必要だ」と、クラウドベンダーLeasewebの英国担当マネージングディレクター、テリー・ストラー氏は語る。

 クラウドサービスのコストが増加する要因は、システム設計にもある。特に注意が必要なのは、オンプレミスインフラのシステムを、そのままの設計でクラウドサービスに移行することだ。オンプレミスインフラとは異なり、クラウドサービスは迅速に拡張できるため、ピーク時の使用量に合わせてリソース量を設計する必要はない。

 専門家によると、クラウドサービスに応じた設計にしたり、リソース量を見直したりすることで、30〜40%のコストを節約できることは珍しくないという。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news047.jpg

SASのCMOが語る マーケティング部門が社内の生成AI活用のけん引役に適している理由
データとアナリティクスの世界で半世紀近くにわたり知見を培ってきたSAS。同社のCMOに、...

news159.jpg

SALES ROBOTICSが「カスタマーサクセス支援サービス」を提供
SALES ROBOTICSは、カスタマーサクセスを実現する新サービスの提供を開始した。

news139.jpg

「Fortnite」を活用  朝日広告社がメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始
朝日広告社は、人気ゲーム「Fortnite」に新たなゲームメタバース空間を公開した。また、...