米国の複数の州議会で企業の週休3日制(週4日勤務制)勤務を導入する法案が提出された。米国の各州議会議員が、週4日勤務制の導入に期待するのはなぜか。
週休3日制(週4日勤務制)勤務導入への機運が高まりつつある。2022年2月にはカリフォルニア州議員が法案「Assembly Bill 2932」を、2022年4月にニューヨーク州議員が法案「Assembly Bill A10009」を、提出した。両法案は、500人以上の従業員を雇用する企業を対象に1週間の労働時間を40時間から32時間に削減することを定めている。しかしいずれも可決には至っていない。
ニューヨーク州やカリフォルニア州の経験を踏まえ、2023年4月ペンシルベニア州議会で法案「HB1065」が、2023年5月マサチューセッツ州議会で法案「Bill H.3849」が提出された。両法案は週4日勤務制の導入に加え、自主的に労働時間を短縮した企業に税額控除を適用する「パイロットプログラム」を組み込んでいる。
週4日勤務の推進派が引き合いに出すのが、非営利団体4 Day Week Globalのデータだ。2019年に設立された同団体は、企業が週4日勤務制を試験的に導入できるプログラムを提供している。
「半年間のプログラムに参加したほぼ全ての企業が、終了後も週4日勤務を継続している」。Boston College(ボストンカレッジ)の社会学教授で、4 Day Week Globalの研究主任も務めるジュリエット・ショア氏はこう語る。プログラムに参加した企業のうち週5日勤務に戻ったのは6%だ。プログラムに参加した米国とカナダの企業は60社に達し、その従業員数は延べ約4000人だという。同氏は、マサチューセッツ州やペンシル州政府のパイロットプログラムが「週4日制勤務の考え方にお墨付きを与える」ことを期待していると話す。
2023年11月、マサチューセッツ州の常任委員会が公聴会を開催した。法案Bill H.3849の起草者の1人であるディラン・フェルナンデス州議員はその場で、州が主導して週4日勤務制を導入することで、州内の企業が人材採用の競争力を高められる可能性があると述べた。
フェルナンデス州議員は「われわれが直面している最大の課題の1つは、人材を引き付けること、働き続けてもらうことだ」とも語る。
調査会社Gartnerでアナリストを努めるエミリー・ローズ・マクレー氏は、ある州で人材不足が起こると、悪循環に陥ると指摘する。「企業が他の州に移ればそこで働いてきた人々の雇用がなくなる。そうなれば、その州からもっと人がいなくなる」(マクレー氏)
後編は、週4日勤務制を支持する動きと反対する動きを整理する。
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