アクセシビリティー改善に役立つ6つのヒント【前編】
「文書の分かりやすさ」を高めるこつは意外にも“ちょっとした気遣い”?
読者の事情や背景にかかわらず、誰もがコンテンツの内容を理解できるように配慮する――。専門家が口をそろえて強調する「アクセシビリティー」(利用しやすさや分かりやすさの意味)改善のこつは。
文書(ドキュメント)やWebページなどのコンテンツの「アクセシビリティー」(利用しやすさや分かりやすさの意味)に対する配慮は、重要でありながら後回しにされがちだ。アクセシビリティー確保の近道は、その重要性を従業員に教育し、文化として社内に定着させることだ。その実現に向けて、企業はアクセシビリティー改善を業務フローに組み込む必要がある。
「アクセシビリティーの確保は、業種業態を問わず考えるべき事柄だ。企業にその文化を根付かせ、教育体制を維持することが欠かせない」。ニューヨーク州立大学パーチェス校(Purchase College, State University of New York)のアクセスカウンセラーであるスコット・メシュニック氏は、そう指摘する。
アクセシビリティー戦略は、「そもそもアクセシビリティーとは何か」という教育から始めるのが望ましい。アクセシビリティー向上に取り組むことの重要性と、アクセシビリティー確保によって万人が得られるメリットは何なのかを従業員に知ってもらうことが基本だ。本稿は、実践のヒント6つのうち、1つ目から3つ目を紹介する。
ヒント1.平易な言葉を使う
併せて読みたいお薦め記事
テレワークの課題をどのように解決するか
平易な言葉を使うことは、アクセシビリティーを向上させる簡単な方法の一つだ。エマーソン大学(Emerson College)のデジタルサービスマネジャー、アイリス・アメリア・オコナー氏によると、米国では成人の5人に1人が小学5年生以下の読解力を持つ。「言語はコミュニケーションの手段だ。もし言葉が意味を伝達する上での障壁になるならば、何も伝えないのと同じだ」とメシュニック氏は言う。
だからこそコンテンツ制作者は、全ての人がコンテンツを理解できるようにすることを念頭に置く必要がある。アクセシビリティー向上手段は技術的な解決策だけではない、ということだ。できるだけ多くの読者に情報を伝えたい場合は、読者の背景や状況にかかわらず、誰もが理解できる表現を選ばなければならない。
ヒント2.ファイル変換時にアクセシビリティー設定が確実に引き継がれるようにする
調査会社Gartnerでリサーチ&アドバイザリー部門シニアディレクターを務めるティム・ネルムズ氏によると、コンテンツ制作者は異なるフォーマットにコンテンツを変換する際、しばしば課題に直面する。DOCX、PDF、HTMLのような主要なフォーマットに変換するなら、アクセシビリティーを確保することは容易だ。だが処理に当たって適切な配慮をしないと、フォーマット変更時に障害が発生する。
文書のアクセシビリティーを維持するには、文書作成における一貫したワークフローを決める必要がある。オコナー氏は「アクセシビリティー設定を後から調整するよりも、『Microsoft Word』のように利用しやすいアプリケーションで扱えるファイルをベースにして、始めにアクセシビリティー設定を決める方が簡単だ」と強調する。「検索性という点で、文書をWebページに変換することには間違いなくメリットがある」というのが同氏の見解だ。「Webページなら検索エンジンが情報を検出しやすくなる。魅力的なキーワードを盛り込んだコンテンツなら、読者を引き付けられる」(同氏)
異なるフォーマットに文書をエクスポートする際には、アクセシビリティー設定が引き継がれるようにしなければならない。「さまざまなエクスポート方法とオプション設定を理解しておく必要がある」とメシュニック氏は説明する。
ヒント3.画像に代替テキストを設定する
アクセシビリティーの改善に取り組む担当者にとって、画像は頭を悩ませる存在だ。特に複雑なグラフや表を含む画像は“大きな課題”だと、ネルムズ氏は説明する。
オコナー氏も「代替テキストはWebコンテンツに欠かせない要素の一つだ」と同意を示し、「画像の内容を適切に説明し、必要に応じて文脈を提供する必要がある」と説く。
例えばMicrosoft Wordには画像に代替テキストを設定する機能がある。画像が装飾的なものである場合は、画面読み上げソフトウェア「スクリーンリーダー」がその画像の代替テキストを無視するよう指定できる。
後編も引き続き、アクセシビリティー向上に役立つヒントを紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー