UCに「PoE」を使うメリットとデメリット【中編】
コンセント不要の給電方式「PoE」がお得ではなく“無駄”になる原因は?
PoEを使えば、ネットワーク機器にLANケーブルで給電できる他、ネットワークの管理や設計がしやすくなるというメリットもある。しかしデメリットもあるため、慎重に検討すべきだ。
電力供給規格である「PoE」(Power over Ethernet)に準拠した機器を、音声やビデオ、文字など複数のコミュニケーション手段を統合して提供するユニファイドコミュニケーション(UC)のインフラとして導入することで、機器の管理しやすさや設計の自由度が向上するなどのメリットが見込める。
ただしPoE導入には制約やデメリットもある。PoEによる給電を無駄にしないためには、利便性や効率の改善だけに目を向けるのではなく、次に示すような制約やデメリットを理解してから導入を検討した方がよい。
「PoE給電」が無駄になる原因はこれだ
併せて読みたいお薦め記事
連載:UCに「PoE」を使うメリットとデメリット
まだ残る有線ネットワークを生かす
給電距離
PoEは、各拠点に複数のネットワークを展開する企業や、平均的な企業より広い敷地を持つ企業には適していない。PoEに準拠したLANケーブルの給電距離は最大100メートルという制限がある。
リピーター(中継器)を継ぎ足すことで給電距離を延長できるが、電力効率とネットワークの管理しやすさが低下する。
消費電力
給電が不必要なデバイスにPoEで給電を続けると、給電期間によっては無視できない損失となる。
PoEに用いる機器によっては電力を余分に損失してしまう恐れがある。電力損失を抑えるためには、適切なLANケーブルを選択する必要がある。LANケーブルの長さやゲージ(線径)が電力損失に影響を与える。一般的に、ケーブルが短く、ゲージが大きいほど、電力損失は少なくなる。
設備投資などの初期費用
従来の設備からPoEに準拠したデバイスに変更するために初期費用がかかる。特に、「PoE++」(IEEE 802.3bt)に準拠するUC機器は、そうでないUC機器と比べて高額の費用が必要になる。
管理と互換性
PoEを使用するには、給電機器(PSE)と受電機器(PD)の互換性を確保する必要がある。PoEには下位互換性があるため、古いPoE規格を片方が利用していてもそれに合わせて給電可能だ。
ただし新しい世代は利用できるLANケーブルに条件がある。具体的にはPoE(IEEE802.3af)はCAT3(カテゴリー3)以上のLANケーブルで動作するが、PoE+(IEEE802.3at)はCat5e(カテゴリー5 エンハンスド)以上の規格でないと給電できない。
互換性がないデバイスを接続するには追加のハードウェアが必要になるため、PoE導入コストが高くなる。
PoEスイッチの各ポートの電力供給量には制限がある。PoEの導入計画を立てる際は、UCデバイス数が利用可能な電力を上回らないようにしなければならない。
発熱
PoEデバイスは電流が流れることで発熱する。アルミケーブルは銅ケーブルより電気伝導率が低いため発熱量は多くなる。PoEデバイスは、準拠する通信規格が高速であるほど、発熱量が増加し、電力損失が増える傾向がある。この問題には適切な空調システムや換気システム、暖房システム、ケーブルを選ぶことで緩和できる可能性がある。
次回はPoEと混同されやすいPoDL(Power over Data Line)について解説する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
昭和大学病院がeICUを導入、ICUの患者情報を遠隔地で一括管理
-
10
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー