RISE with SAPが解決する課題【後編】
保守期限を2033年まで事実上延長 SAPが譲歩する“やっぱりな理由”
SAPが一定の条件を満たしたユーザー企業に対し、「SAP ERP Central Component」の保守サポートを2033年まで延長する。SAPが“譲歩”を見せた背景には、一部のユーザー企業が抱える“ある問題”がある。
オンプレミス型ERP(統合基幹業務システム)「SAP ERP Central Component」の保守サポートが2027年に終了する。しかし一部のユーザー企業は、クラウド型ERPへの移行が困難な状況に直面している。
そうしたユーザー企業向けに、SAPは保守期限を2033年まで延長する方針を打ち出した。クラウド型ERPへの移行支援サービス「RISE with SAP」の導入などを条件に「SAP ERP, private edition, transition option」と題するサービスを提供する。SAPが“譲歩”を見せた背景には何があるのか。
SAPが譲歩する“やっぱりな理由”
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連載:RISE with SAPが解決する課題
RISE with SAPの現状と今後
ITコンサルティング会社TechVentiveの創業者ブライアン・ソマー氏は、ユーザー企業が大規模なオンプレミス型ERPからクラウド型ERPに移行する時間的な余裕が生まれたと説明する。
「ユーザー企業はクラウド移行を成功できれば、将来の機能のアップグレードにかかる時間とコストを削減できるようになる」とソマー氏は説明する。「長期的にはユーザー企業が高度な機能を活用できることにつながる」(ソマー氏)
ソマー氏は「ユーザー企業はクラウド型ERPに移行し、AI(人工知能)技術をはじめ先端技術を活用したいと考えているが、移行しづらい要因があった」と指摘する。「大規模なオンプレミス型ERPを有するユーザー企業は、資金や人材、時間がなければ、迅速なクラウド移行はできない」(ソマー氏)
「大規模なユーザー企業は、問題が発生しないように、アップグレードを慎重に進める必要がある」とソマー氏は述べる。「新サービスは、大規模なユーザー企業がクラウド移行を成功させるために必要な時間を確保するためのものだ」(同氏)
調査会社Constellation Researchのバイスプレジデント兼主席アナリストであるホルガー・ミューラー氏は「保守サポートの延長は有用だが、ユーザー企業はクラウド型ERPへの移行を遅らせるべきではない」と言う。
ミューラー氏は「2033年まで猶予があるとしても、ユーザー企業は『SAP S/4HANA Cloud』への移行を開始するべきだ。なるべくパブリッククラウド版を導入するのが望ましい」と提言する。
「SAPがクラウド移行に予想以上の時間がかかることを認識し、さまざまな支援をすることは、現実的なアプローチだ」と、ITコンサルティング会社Enterprise Applications Consultingの創設者ジョシュア・グリーンバウム氏は述べる。
一方、グリーンバウム氏は「移行は簡単には実現しない」と指摘する。課題の一つは、クラウド移行の妥当性を説明できるだけの根拠が不足していることだ。この問題は「SAPとユーザー企業が解決すべき問題だ」と同氏は言う。
グリーンバウム氏は「スイッチを押せば魔法のようにクラウド移行が完了するわけではない。移行に賛同するユーザー企業も自身の役割を果たす必要がある」と述べ、「さまざまな理由から、遅かれ早かれクラウドに移行する必要がある」と強調する。
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