IPv6への移行の基本【前編】
「IPv6」への移行が必要なのはなぜ? 「IPv4」は何が駄目なのか?
インターネットにおける通信で使われる「IPv6」は、「IPv4」の複数の課題を解消するプロトコルだ。どのような点が改善されるのか。移行する前にその基本を覚えておこう。
IP(インターネットプロトコル)のバージョン「IPv4」は数十年にわたり、インターネットの標準プロトコルとして使用されてきた。IPv4によってさまざまなクラウドサービスやWebサービスが実現してきた。しかし、IPv4は複数の課題を抱えている。その課題と、次世代バージョンの「IPv6」によっていかに課題を解決できるのかを解説する。
IPv4は何が問題なのか?
併せて読みたいお薦め記事
IPアドレスの仕組みを詳しく
IPv4には、以下のような課題がある。
- 利用可能なアドレス数が約43億に制限される
- 暗号化機能の欠如
- 不十分なルーティング機能
IPv4のこうした課題を解決するのがIPv6だ。IPv6は以下の特徴を持つ。
- より多くのアドレス空間
- ネットワークセキュリティプロトコル「IPsec」を標準搭載していることによる暗号化
- ヘッダーのシンプル化などによる効率的なルーティング
以下の表は、IPv4とIPv6の基本的な機能比較を示している。
| 特徴 | IPv4 | IPv6 |
|---|---|---|
| アドレス長 | 32bit | 128 bit |
| アドレス数 | 約43億 | 約340×10の36乗 |
| 表記方法 | ドット付き10進数 | 16進数 |
| ブロードキャストアドレス | 利用可能 | マルチキャストに置き換え |
| 暗号化 | デフォルトではなし | IPsecに組み込まれている |
| 構成 | 静的または動的 「DHCP」 (Dynamic Host Configuration Protocol)など |
自動設定またはDHCPv6 |
IPアドレスのフォーマット
IPv4アドレスは32 bit長で、4つのオクテット(8bitの集合)に分かれている。各数値は0から255の範囲で「192.0.2.0」のように表記する。IPv6アドレスは128 bit長であり、0から9とAからFまでの16個の文字を使った16進数を使用して「2001:DB8::1:1:1」のように表す。
IPアドレスでは、ネットワークを識別するための「ネットワーク部」と、ネットワーク内のどのクライアントかを識別するための「ホスト部」を区別する。
IPv4アドレスでは、全てのIPアドレスを固定されたクラスに分ける「クラスフルアドレス」方式でアドレスを割り当てる。クラスフルアドレスはIPアドレスを用途に応じてクラスA、クラスBなどに分類して、ネットワーク部も固定する。
これに対して、IPv6アドレスは、必要に応じてネットワーク部を定義できる「クラスレスアドレス」を採用し、表記方法に「Classless Inter-Domain Routing」(CIDR)を使用する。CIDRはネットワークアドレスとサブネットマスクを示し、ネットワーク部分とホストアドレスを表すビット数を指定する。
名前解決とIPv6
名前解決は、機械向けに数字などで構成されるIPアドレスを、人間が読める名前に変換するプロセスだ。IPv6は、IPv4よりも桁数が多く、人間にはさらに覚えにくいため名前解決の重要性は高い。幸いなことに、名前解決の仕組みである「DNS」(Domain Name System)を利用した、主要なDNSサーバの大半はIPv6のリクエストを標準で処理できる(図1)。
次回はIPv6を実際に運用するためのコマンドや、移行時の注意点を解説する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「恥を知るべきだ」 AIデータセンター反対運動を招いた事業者の秘密主義
-
4
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
7
私も“AIエージェント開発者”に? 裾野を広げる「Agent Bricks」とは
-
8
パスワードはなぜ死んだか 情シスが今すぐ始めるパスキー移行の現実解
-
9
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー