若手の定着を阻む“二重の壁”
「こんなはずでは」 製造業の若手は“アナログな現場”に幻滅して辞めていく
製造業に新卒入社した若手従業員の7割が、入社前の想定と現場のデジタル化の遅れに大きなギャップを感じていることがシムトップスの調査で分かった。若手を失望させている“アナログな業務”の実態とは。
製造業において深刻な人手不足が続く中、若手人材の確保と定着は各企業の喫緊の課題になっている。とりわけデジタルネイティブと呼ばれる世代にとって、業務におけるデジタルツールの活用は当たり前だ。しかし、多くの製造現場ではいまだに紙ベースの帳票や手作業による情報伝達が根強く残っており、これが若手従業員のモチベーション低下を招いている。
現場帳票システム「i-Reporter」を手掛けるシムトップスが発表した「製造業の若手新卒の離職に関する実態調査」によると、若手従業員の多くが入社前に抱いていたイメージと現場の実態に大きなギャップを感じている。本調査は2026年6月19日から22日にかけて、過去3年以内に製造業へ新卒入社した、入社1~3年目の若手従業員108人を対象に実施されたものだ。現場のデジタル化の遅れは、若手従業員の離職意向に直接的な影響を与えている。一方で、デジタル化が進めば定着率が向上するという希望も見え隠れする。企業にとって、現場DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進はもはや選択肢ではなく急務だ。
若手従業員は現場のどのような作業に幻滅し、それが離職にどう結び付いているのか。調査結果から、若手従業員の本音と定着率を上げるためのヒントを探る。
期待を裏切るアナログな現場の実態
調査対象者の69.4%が、現在勤めている現場業務のデジタル化について「入社前の想定より進んでいない」と回答した(「かなりそう感じた」21.3%、「ややそう感じた」48.1%の合計)。デジタル化の遅れを最も強く感じる場面として、57.3%が「手作業で数値やデータを別の書類、システムに転記するとき」を挙げている。続いて「過去の記録を紙のファイルから探すとき」(38.7%)、「電話やFAXで報告、連絡をするとき」(32.0%)などが上位に並んだ。
自由回答では、「月間予定表が黒板」「デジタルのものを何も使っていない」といった、極めてアナログな現場の実態も寄せられている。スマートフォンやクラウドサービスを日常的に使いこなす世代にとって、手書きの点検シートや紙の書類を探し回る作業は、単なる非効率を超えたストレスになっている。
離職要因の第3位に「デジタル化の遅れ」
こうしたアナログな業務環境は、若手従業員の定着に深刻な悪影響を及ぼしている。調査では、全体の71.3%が現在の勤務先で離職を検討した経験がある(「現在、検討している」40.7%、「過去に検討したことがある」30.6%)と回答し、若手定着の難しさが鮮明になった。離職を検討した要因として最も多かったのは「職場の人間関係」(53.2%)、次いで「仕事内容が想定と違ったこと」(37.7%)だが、注目すべきは3番目に多い「現場業務のアナログさ・デジタル化の遅れ」(29.9%)だ。若手従業員にとって、非効率な手作業や古い業務プロセスは、企業を見限る理由になっている。
退職時の意向についても現代の若手ならではの傾向が見られる。もし退職する場合の手段として、「人事や担当部署に事務的に伝えるだけで、できるだけ人とは関わらず辞めたい」(39.8%)が最も多く、「退職代行サービスなどを利用して辞めたい」(12.0%)と合わせると、半数以上が極力人と関わらずに退職したいとの意向を示した。このドライな姿勢は、不満があっても直接改善を求めず、静かに見切りをつけて立ち去る若手の姿を映し出している。
現場DXが採用と定着を左右する
一方で、希望を持てるデータもある。現在の勤務先で現場業務のデジタル化が進んだ場合、「今の会社で働き続けたい」と回答した若手従業員は64.8%(「非常にそう思う」17.6%、「ややそう思う」47.2%)に上った。つまり、現場のデジタル化は、若手従業員をつなぎとめる強力な手段になり得る。
就職活動における企業選びの基準としてもデジタル化の度合いは重要視されている。「もし入社前に複数の会社から内定を得ていたとしたら、より現場業務のデジタル化が進んでいる会社を選びたい」と答えた割合は76.9%(「非常にそう思う」17.6%、「ややそう思う」59.3%)に達した。転職先を選ぶ際に重視することとしても、「現場業務のデジタル化が進んでいること」(25.9%)が上位に食い込んでいる。
デジタル化を阻む「予算」と「組織風土」の壁
しかし、現場のデジタル化を推進する上での壁も存在する。若手従業員が考える「製造業の現場でデジタル化が進みにくい理由」の首位は、「導入のための予算が確保されていないから」(52.0%)であった。次いで「ベテラン従業員が紙やアナログのやり方を変えたがらないから」(34.7%)、「現場にITに詳しい人材がいないから」(33.3%)が続く。資金不足に加えて、組織風土や人材不足という構造的な課題がDXの足かせとなっている。
企業は、若手従業員が「ここで働き続けたい」と思える業務環境を構築するために、まずは手作業での転記や紙の記録探しといった、アナログさを感じる場面そのものを解消する仕組みを整える必要がある。プログラミング知識が不要で、現場主導で自らデジタル化を推進できるような自由度の高いツールの導入が求められる。導入予算やIT人材の不足といった課題を乗り越え、いかにスモールスタートで現場DXを実現できるかが、これからの製造業における競争力の源泉になる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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