自治体で庁内ツールを導入しても、約8割が以前の紙や電話などのアナログな業務手順に逆戻りしている。ツール定着を阻む要因と、今後のシステム選定で重視すべきポイント、避けるべきポイントを解説する。
行政サービスの向上や業務の効率化を目指し、全国の自治体がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。しかし、新たなシステムを導入したものの、現場の職員に浸透せず、意図した効果を得られないケースが相次いでいる。
SaaS(Software as a Service)ベンダーrakumoが実施した実態調査によると、グループウェアやワークフローなどの庁内ツールを導入した自治体において、約8割の担当者が「導入後、以前のやり方に戻った経験がある」と回答した。本調査は2026年4月2〜3日にかけて、庁内ツールの導入や運用に携わる自治体職員115人を対象に実施された。対象となったのは、DX推進や情報システム管理などに責任者または担当者として関わる職員だ。
現場では、新たなツールが敬遠され、結果として紙や電話、メールといった従来の手法に逆戻りする現象が起きている。定着に向けて担当者が時間を割いて支援をしても、実務への活用に直結しないというジレンマが生じている。ツール定着を阻む具体的な要因と、今後のシステム選定で重視すべきポイントを、調査結果から読み解く。
システムが現場に定着しない直接的な要因として、実務に即した「使いやすさの欠如」が存在することが分かる。
ツール導入後の「以前のやり方」への逆戻り度合いを見ると、「一部の業務や人が、以前のやり方に戻った」が60.0%、「大部分が定着せず、以前のやり方に戻った」が18.3%に上る。その理由として最も多く挙げられたのは、「周囲の職員がツールを使っておらず、自分だけでは完結しなかったから」(47.8%)という点だ。次いで「ツールの操作に慣れず、従来の方法の方が早かったから」(44.4%)が続く。導入時の現場の反応としても「忙しくて操作を覚える時間がない」(38.3%)、「説明会やマニュアルがあっても内容を理解し切れない」(37.4%)、「画面が複雑で操作が分かりにくい」(36.5%)といった声が上位を占めた。
これらの結果は、一部のITスキルが高い職員だけが使いこなせても、組織全体としての業務システムにはなり得ないことを示している。どれほど高度な機能を備えたシステムであっても、現場の職員にとって学習コストが高ければ、日々の慌ただしい実務の中で利用されなくなってしまう。
システム管理者の負担も見逃せない。ツールの定着支援として、担当者の約4分の3が説明会の実施やマニュアル作成に時間を割いている。「非常に多くの時間を割いており、本来の業務を圧迫している」との回答も14.8%に上る。それにもかかわらず、「説明会に参加しても、実務で活用できていない」(46.8%)、「マニュアルを読まず、電話や窓口で直接問い合わせてくる」(40.5%)といった課題が未解決のまま残されている。行政特有の課題として「人事異動のたびに、新たな職員への教育が必要になる」(40.5%)という声も根強い。
運用面においても、「機能が多過ぎて、職員が敬遠している」(37.4%)、「設定やカスタマイズが複雑で、管理側のメンテナンス負担が重い」(35.7%)といった悩みが寄せられている。多機能で複雑なシステムは、利用者だけではなく管理者の負担も増大させてしまう要因だ。
こうした状況を踏まえ、今後のシステム選定における方針は明確に変化しつつある。庁内ツールのリプレースや新規導入を検討する際、担当者の約7割が機能と同等以上に「UI(ユーザーインタフェース)、操作性を重視する」と回答している。具体的に重視したいポイントとしては、「ITが苦手な職員でも抵抗なく使えるシンプルさ」(46.1%)や、「説明書がなくても直感的に操作できるUI、画面設計」(40.0%)が上位に挙がった。
自治体DXを真に実現するためには、高度なスペックや多機能性よりも、全ての職員が迷わず使える直感的な操作性を優先することが求められている。rakumoが提案するように、クラウドサービスと親和性の高いインタフェースを用い、マニュアルに頼らずに操作できる環境を整えることが、システム定着の最短の道となる。今後の自治体向けシステムでは、利用者のスキル格差を埋め、組織全体の負担を軽減する「ユーザー中心の設計」が重要だ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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