Salesforceのセキュリティ担当者が明かす

プロンプトインジェクションはなぜ防げない? 「生成AIテスト」の構造的問題

AIエージェントの活用が拡大する中、プロンプトインジェクションをはじめとする攻撃手法が巧妙化している。従来の入力フィルタリングが機能しない中で、企業は安全性をどう確保すればよいのか。

 生成AIの業務適用が進む中、システムに対するセキュリティ評価の手法も根本的な見直しを迫られている。SQLインジェクションのペネトレーションテストなどの従来型のシステムに対するセキュリティ評価は、入力に対するシステムの挙動が明確であり、「攻撃が成功したか、失敗したか」を明確に判断できた。

 しかし、生成AIを支える大規模言語モデル(LLM)は確率的に動作するため、同一の入力に対しても同一の応答が保証されない。このように「同じ入力でも同じ結果になるとは限らない」というLLM特有の性質が、従来の手法によるセキュリティ評価を難しくする根本的な要因になっている。

 Salesforceで製品セキュリティのプリンシパルを務めるジェイソン・ロス氏は、約4年間にわたって生成AIの脆弱(ぜいじゃく)性を評価する「レッドチーム演習」を専門に実施してきた。同氏は、生成AIのセキュリティテストにおいては、特定のバグを見つけるのではなく、AIモデルの「振る舞い」を操作して評価するアプローチが必要だと指摘する。

 非決定的なシステムに対して、専門家はどのような技術的アプローチで脆弱性を特定しているのか。

生成AIに対する「ジェイルブレーク」と「プロンプトインジェクション」

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