数理最適化を活用したAIシステムとは
数理最適化AIで繁忙期の配車計画を短縮 アップル引越センターが導入
「アップル引越センター」を展開するアップルは、長距離便の配車計画を自動作成する“数理最適化AI”システムを導入した。開発や導入の経緯は。
引越しサービス「アップル引越センター」を展開するアップルは、拠点間の長距離便における配車計画を自動作成するAIシステムを導入した。同システムの開発を担ったのは、DataPrism Technologiesだ。本稿は、システム開発の経緯を紹介する。
東大発ベンチャーと挑んだ「配車自動化」の舞台裏
アップルは全国で引越し業やリサイクル業を展開している。同社の長距離便では、行き先や日付、荷物量の組み合わせをもとに複数の案件を1台の車両にまとめる「グルーピング」を実施、輸送効率を高めている。しかし、繁忙期には対象案件が増加し、輸送上の制約を満たす組み合わせを人手で探索するため、1回の配車計画作成に約1時間30分を要していた。
加えて、引越し日の変更やキャンセルが発生するたび、計画を一から組み直す必要があり、その都度同じだけの時間がかかっていた。そのため、条件変更が生じても部分的な手直しにとどめざるを得ず、輸送効率を高める余地が残されていた。
こうした課題を解決するため、アップルは東京大学発のAIスタートアップであるDataPrism Technologiesと連携し、数理最適化手法を用いた配車計画自動作成システムを開発した。配車計画では、車両の積載量や運行時間などの条件を満たす多数の組み合わせの中から、必要な運行回数が最も少なくなる計画を探す必要がある。これは「組み合わせ最適化」と呼ばれる問題だ。新システムは、車両の積載容量、エリア間の折り返し時間、荷物量の多い案件を他の案件と組み合わせる際の制限といった現場の運用ルールを満たしたうえで、運行数が最小となる配車計画を自動作成する。
システムが提示した計画案は、画面上で調整したうえで確定できる設計とした。引越し日の変更やキャンセルが生じた場合も、その時点の最新条件で即座に計画を再作成できる運用体制を整えている。
導入に先立つ実証実験では、2025年の実案件データを用いた複数期間の評価を実施した。手作業で作成した計画と比較して運行総数が減少し、荷物を積まない空車運行が削減されたことで、平均積載率は5ポイント向上した。計画作成時間も、従来の手作業による約1時間30分から数十秒へと短縮。案件数が最多となる繁忙期でも20分程度で完了し、条件変更に応じた計画の再作成が実用的な運用となった。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「アップル引越センター、数理最適化AIで長距離配車を自動化 積載率向上と計画作成を高速化」(2026年9月2日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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