部長は前向き、役員は慎重?
20代の59.1%が「最終判断もAI主体でよい」 1104人調査で見えた人とAIの役割分担
チェンジホールディングスは、AIと人間の役割分担に関する意識調査の結果を発表した。1104人への調査からは、「何をAIに任せ」「何を人間が実施するのか」さまざまな課題が示された。
生成AIやAIエージェントの導入が広がる中、情報システム(情シス)部門には新たな課題が生まれている。「AIを導入するかどうか」ではなく、「どの業務を、どこまでAIに任せるか」を決める必要が出てきたことだ。
議事録作成や情報整理はAIに任せてもよい。課題整理や最終的な意思決定は人が担うべき――。こうした“人とAIの線引き”に対する働き手の意識が、調査から見えてきた。
チェンジホールディングスは2026年9月7日、子会社のチェンジ、イー・ガーディアンと共同で実施した、「AIと人間の役割分担に関する意識調査」の結果を発表した。全国の会社員と役員1104人を対象に、課題整理やデータ分析、議事録作成、最終的な意思決定など13の業務について、AIをどこまで主体的に使ってよいと考えるかを尋ねた。
AI活用をめぐる社内の温度差
13の業務について、AIの活用方法として最も適切だと思うものを尋ねた質問では、「人が主体で実施する」とした回答が平均61.2%となった。「AIが主体的に実施する」とした回答は38.8%だった。ここでいう「AI主体」には、AIが業務を実行して人が確認や最終判断だけを担うケースと、人がほぼ関与しないケースが含まれる。
「議事録」はAIに任せる、「課題整理」は人が担う
調査結果を業務別に見ると、人とAIの線引きは一様ではないことも分かった。「AIが主体的に実施してよい」とする割合が最も高かった業務を尋ねたところ、一番多かったのは「議事録作成」で44.7%だった。次いで「データ分析」が44.0%、「情報の整理」が43.8%となった。
一方、AI主体を容認する割合が最も低かったのは「課題の整理」で25.3%だった。「最終的な意思決定」は33.5%、「社内報告(上司・役員)」は35.2%にとどまった。
つまり、情報を整理したり分析したりする業務ではAIに主導権を渡すことへの抵抗が比較的小さい一方、何を課題と捉えるかを決めたり、最終的な責任を伴う判断をしたりする業務では、人が主体となるべきだと考える人が多い傾向があることが分かった。
情シスにとって重要なのは、この結果を「AIを使ってよい業務/使ってはいけない業務」という単純な二択にしないことだ。
例えば同じデータ分析でも、AIに集計や傾向抽出まで任せるのか、施策の提案まで許可するのか、その提案をそのまま業務システムへ反映させてよいのかではリスクが異なる。AIの利用範囲を決めるには、業務単位だけではなく、AIに与える権限や人の確認を挟むポイントまで設計する必要がある。
部長はAIに前向き、役員になると慎重に
人とAIの線引きに対する考え方は、役職によっても違いがあることが、調査結果から分かった。
13の各業務ごとに「AIが主体的に実施してよい」かどうかを尋ねた質問では、一般社員から主任・リーダー、課長、部長へと役職が上がるにつれて、AI活用を容認する割合は上昇した。ところが役員になると、その割合は43.7%まで低下した。13業務全てになると、容認する回答は部長の割合を下回ったという。
特に差が大きかったのが「課題の整理」だ。AI主体を容認する割合は部長が47.4%だったのに対し、役員は25.9%で、21.5ポイントの差があった。
全社的なAI導入を進める情シスにとって、この“温度差”は無視しにくい。現場や管理職は効率化を求めてAIへの委任範囲を広げたい一方、経営層は判断責任やリスクを重視し、より慎重になる可能性がある。
そのため、AI導入のルールを策定するときには、単に「この製品を利用してよい」と定めるだけでは足りない。AIが担当する範囲、人が確認する箇所、問題が起きた際の責任者、AIによる処理を停止する条件などを明確にすることが求められる。
20代の約6割は「最終判断」もAI主体を容認
調査結果からは、世代による違いも示された。「最終的な意思決定」をAIが主体的に実施してよいか尋ねた質問では、「よい」と答えた割合は20代で59.1%、30代で36.0%、40代で23.9%、50代では12.1%で、年代が上がるほど低下した。
一方、「自分の仕事がAIに代替されることを懸念している」とした割合も、20代では67.5%だったのに対し、50代では26.5%だった。この結果からは、若い世代ほどAIに業務を任せることには前向きなものの、自身の仕事が置き換わることへの警戒感も存在していることが分かる。
本稿は、イー・ガーディアングループが2026年9月7日に公開したチェンジHDグループ、人とAIの「線引き」に関する意識調査を発表を基に作成しました。
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