入社時や月末の運用負荷をどう削減するか
Peach Aviationが回避したSaaS運用破綻リスク “個別管理”がIT部門を疲弊させる
端末とSaaSの個別管理はIT部門を疲弊させ、本来のセキュリティ施策を停滞させる。Peach Aviationはアカウントと端末を一体管理することで、どのように運用負荷の削減とガバナンス強化の基準を図ったのか。
事業成長に伴って利用するSaaS(Software as a Service)の種類が増加し、従業員が扱うデバイスも多様化する中、IT部門の運用負荷は限界に達しつつある。特に、従業員の入退社に伴うアカウントの個別処理やデバイスのライフサイクル管理は、IT部門の貴重な人員を定常業務にくぎ付けにしてしまう要因だ。
航空会社のPeach Aviationは、まさにこの課題に直面していた。同社では約2000人強の従業員に対し、バックオフィス向けのPCやスマートフォン、現場の専用端末など、数千台規模のデバイスが稼働している。業務で利用するSaaSが増加するにつれて、約20人のIT部門には、アカウントの発行や削除といった定常業務が重くのしかかっていた。
厳格なセキュリティ対策が求められる航空会社でありながら、日々の作業に追われ、全社的なセキュリティ施策の企画・検証に人手を割けない状況は、大きなリスクになる。こうした状況を打破するために、Peach Aviationは運用効率化に向けた見直しに着手した。
なぜ「アカウントと端末の一体管理」が必要だったのか
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SaaS管理の効率化
Peach Aviationは、アイデンティティーセキュリティシステム「Josys」を導入した。2026年9月8日、ジョーシスが発表した。端末とSaaSの統合管理によって、月末のアカウント管理や大規模な入社手続きに伴うIT部門の運用負荷を軽減した。定常業務を効率化することで、全社的なセキュリティ施策の企画や検証といった付加価値の高い業務への注力を目指す。
Peach Aviationには約2000人強の従業員が勤務しており、社内ITやセキュリティを支えるIT部門は約20人の体制で運用を担っている(2026年4月時点)。同社では、バックオフィス社員が利用するPCやBYODのスマートフォン、客室乗務員や空港スタッフに支給するタブレットに加え、空港カウンターに設置された専用端末や現場の共用端末など、管理対象のデバイスは数千台規模に上っていた。業務で利用するSaaSの種類が増加するにつれて、従業員からの利用申請への個別対処や、アカウントの発行および削除といった定常業務がIT部門の大きな負担となっていた。
航空運送事業という社会インフラを支える観点から、Peach Aviationでは厳格なセキュリティ対策が求められる一方、日々の運用作業に追われて全社的なセキュリティ施策に十分な人手を割けない状況が課題となっていた。こうした課題を解決するため、クラウド利用の可視化と運用効率化に向けたツールの検討に着手。特殊な基幹システムを持つ航空業界の特性を踏まえ、利用頻度の高いSaaSとの親和性の高さを重視した。アカウント管理だけではなく端末管理も一体で運用できる点、クラウドサービスの利用状況を容易に把握できる点、外部への業務委託を含めた自由度の高い運用が可能な点などを評価し、費用と機能のバランスが合致したJosysの採用を決めた。
導入後は、月末に集中していたアカウントの発行や削除作業が効率化され、運用フローが円滑化した。特に、新年度などで100人規模の受け入れが発生する入社関連業務をIT部門から切り離せたことで、作業負荷が軽減された。JosysのWebブラウザ拡張機能を社内に展開したことで、各部門におけるクラウドサービスの利用状況を網羅的に把握できる体制を整備した。利用実態の可視化によって、従来の画一的な禁止措置から、安全なツール利用へと導くガードレール型の統制へと運用の見直しが進んでいる。
定型的な作業工数が削減されたことで、IT部門では新しいセキュリティ施策の企画や管理強化に向けたテストおよび検証作業に人員を振り向けられる環境が整った。今後は、Josysの従業員ポータルやワークフロー機能を活用し、利用可能なSaaSのカタログ化から利用申請、承認、アカウント払い出しまでを一元化する計画だ。利用者の費用に対する意識を醸成しながら対象を拡大し、全社的なガバナンス強化を推進する。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「Peach Aviation、端末とSaaSの一体管理で入社時や月末の運用負荷を軽減」(2026年9月9日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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