iPhone、iPad、Androidスマホを一元管理
阪急交通社はiPhoneなど9600台を管理する「MDM」をどう見直したか 運用破綻を防ぐ基準
MDMの複雑な操作性は運用負荷を増大させ、設定ミスなどのリスクを招く。約9600台を管理する阪急交通社は、いかにしてこの課題を克服したのか。MDM見直しの基準と、大規模運用を破綻させないための勘所を明かす。
企業において、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末は業務に欠かせないインフラだ。それに伴い、モバイル端末管理(MDM)ツールもますます重要になっているが、導入した製品が「直感的に操作できない」「設定変更のたびに専門知識が必要になる」といった理由から、日々の運用管理が大きな手間になるケースがある。管理台数が増えるほど、この「使いづらさ」は運用を硬直化させ、設定漏れや紛失時の対処遅れといった重大なセキュリティリスクに直結する。
総合旅行会社の阪急交通社は、全従業員向けの内線用「iPhone」約2600台に加え、ツアーに同行する添乗員向けの「Android」スマートフォンや「iPad」約7000台、合計約9600台のモバイル端末を一元化して運用している。同社はかつて、MDMの操作性に大きな課題を抱えていた。
以前利用していたMDMツールは、設定画面や操作手順が直感的ではなく、状況把握や設定変更に専門的な知識が求められていた。多様な端末が常時世界中で稼働する旅行業務の現場において、情報システム部門に限らず、安全かつ迅速に端末設定を統括できる体制づくりが急務となっていた。
こうした課題を背景に、阪急交通社はどのような基準で新たな管理システムを選定したのか。役割に応じた自由度の高いポリシーの適用など、大規模運用における端末管理の勘所を解説する。
9600台の運用を阻んだ「既存MDMの課題」とは
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モバイル端末の運用管理
阪急交通社は、アイキューブドシステムズのモバイル端末管理サービス「CLOMO MDM」を活用し、全従業員と添乗員が利用する約9600台のモバイル端末を一元管理している。アイキューブドシステムズが2026年9月16日、事例情報を公開した。運用管理の負担軽減と、利用者や用途に応じたセキュリティ統制の両立を図る。
阪急交通社は、主力ブランドの「トラピックス」をはじめ、国内・海外旅行や訪日外国人旅行、法人向けサービスなど多角的な旅行事業を手掛ける総合旅行会社だ。同社は、全従業員向けに内線や社内システムを利用するためのiPhone約2600台を貸与している。日本国内や世界各地の現場でツアーに同行する添乗員向けとして、日報作成や経費精算、現地での情報確認に用いるAndroidスマートフォンやiPad約7000台を配備している。
これまでも阪急交通社ではモバイル端末管理(MDM)ツールを運用していたものの、設定画面や操作手順が直感的ではなく、設定の変更や状況把握に専門的な知識が必要になるなど、運用管理の負担が大きな課題となっていた。旅行業務の現場では多様な端末が常時稼働しており、情報システム部門に限らず、安全かつ迅速に端末設定を統括できる体制づくりが求められていた。
こうした背景から、阪急交通社は管理画面の操作性やサポート体制を重視してMDMツールの見直しに着手した。一部の端末による試行運用を実施した結果、直感的に操作できる管理インタフェースを評価し、全社規模での移行を決断。機種変更のタイミングに合わせて移行を進め、合計約9600台の端末をCLOMO MDMの管理下に集約した。
採用に当たっては、専門知識を持たない担当者でも迷わず設定や確認ができる管理画面の使いやすさに加え、充実したマニュアル、サポート窓口、ユーザー企業向けセミナーなどの手厚い支援体制が決め手となった。CLOMO MDMは、政府が定めたセキュリティ基準を満たすサービスとして「ISMAP」(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)にも登録されている。
刷新後は、利用者の役割に合わせたセキュリティポリシーを適用している。社員用iPhoneには社内教育や運用規定を前提として一定の自由度を残し、現場での業務活用を促す設計にした。一方で、世界各地で運用される添乗員用のAndroidスマートフォンやiPadについては、ツアー業務に必要な用途に機能を限定。不要なアプリケーションの追加制限やスクリーンショットの制御を実施し、海外渡航先などの現場でも情報漏えいを防ぎながら安全に利用できる体制を整えた。
数千台規模の端末に対して管理者側から業務アプリケーションを一斉配信する仕組みを構築したことで、利用者側の設定作業や、管理者側の問い合わせ対応の負担軽減につながった。万が一の紛失や盗難が発生した際にも、遠隔からの紛失モード起動や位置情報の追跡機能を活用し、迅速な初動対処が可能になった。
阪急交通社は今後もCLOMO MDMを活用し、現場の利便性を維持しながら強固な統制と安定した運用管理を継続する。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「阪急交通社、約9600台の端末管理基盤を刷新 運用の負担軽減と安全性を両立」(2026年9月17日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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