立ちはだかる技術的制約

SAPの手探り“クラウド間移行” 丸紅グループが業務停止を1営業日に抑えた方法

将来のAI活用を見据え、「RISE with SAP」のインフラを別のクラウドサービスに移行することを決めた丸紅情報システムズ。稼働中の「SAP S/4HANA Cloud」の停止期間を最低限にとどめ、難題を乗り越えた手法とは。

 企業の基幹業務を支えるSAP製ERP(統合基幹業務システム)。近年は「RISE with SAP」などの移行・運用支援サービスを活用したクラウドインフラでの稼働が一般的になりつつある。その中で、将来的なAI機能の活用や高度なデータ分析システムとの連携を見据え、稼働中のクラウドインフラを自社の戦略に合うものに見直すことが選択肢になっている。

 しかし、稼働中の「SAP S/4HANA Cloud, private edition」(以下、SAP S/4HANA Cloud)を異なるクラウドサービスに移行する作業はハードルが高い。異なるクラウドサービス間でデータを直接転送できないといった技術的制約が存在する上、インフラやミドルウェア「SAP BASIS」での作業をSAPにサービス依頼(SR)として起票するタイミングや手順の管理が複雑になるからだ。

 こうした異種クラウド間移行の公開事例が乏しい状況下で、丸紅傘下のIT事業を担う丸紅I-DIGIOグループは、SAP S/4HANA Cloudを従来の「Amazon Web Services」(AWS)から「Google Cloud」に移行する決断を下した。さまざまな制約や技術的課題をどう乗り越えたのか。

「異種クラウド移行」を阻む制約と打開策

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