中小企業でもできるkintone活用
Excelや紙に散らばる情報を集約 kintoneで脱属人化と年360時間を削減したバス会社
業務拡大に伴って「Microsoft Excel」や紙の個別管理では限界を迎えつつあった東関交通。担当者1人に頼る属人化が経営リスクになる中、「kintone」で業務の停滞を防いで年間360時間を削減できた事例を紹介する。
千葉県のバス会社である東関交通は、事業拡大に伴い受注管理業務が特定の担当者に依存する構造的課題を抱えていた。サイボウズの「kintone」を導入し、紙や表計算ソフトに分散していた情報を集約することで、社内全体で年間約360時間の業務時間を削減した。IT専門人材が不在の中小企業が、いかにして自社専用の管理基盤を構築したのか。
東関交通は設立40年を超えるバス会社で、貸し切りバス事業の拡大によって車両数を当初の約6倍の31台に増やした。事業規模が拡大する一方、受注管理は長年にわたって業務に精通した1人の担当者に依存する状態が続いていた。受注の詳細を把握できるのは担当者のみで、その担当者が不在になれば業務が停滞するリスクがある。受注状況は紙のカレンダーや既存の運行管理システムで管理していて、売り上げや車検管理には「Microsoft Excel」「Googleスプレッドシート」を利用するなど、情報が業務ごとに分散していることも課題だった。
この構造的な制約を解消するため、東関交通はサイボウズのノーコード開発ツール「kintone」を導入した。同社にとって、kintoneは「大企業向けのシステム」という認識だった。しかし、同業の小規模なバス会社が特定の担当者に依存する課題をkintoneで解決した事例を知り、自社にも適用可能だと判断した。自社の業務に合うシステムを、ITの専門知識を持たない企業がどのように作り上げたのか。
中小企業に適したシステム選定と開発アプローチ
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kintoneによる業務改善
千葉県成田市のバス会社、東関交通は、サイボウズのkintoneで、貸し切りバスの受注管理や車両・従業員の台帳などを一元管理している。アプリケーションは、アールスリーインスティテュートの開発サービス「キミノマホロ for kintone」で作った。情報を探す、聞く、待つといった時間は、社内全体で年間約360時間減ったと試算する。2026年10月9日、アールスリーが事例を公開した。
東関交通は、設立40年を超えるバス会社で、貸し切りバスやタクシー、ハイヤーなど55台以上を保有する。貸し切りバス事業の拡大に伴い、バスの車両数は当初の5〜6台から31台へと約6倍になった。一方、受注管理は、長年業務に精通した担当者1人に頼る状態が続いていた。受注内容は、紙のカレンダーや既存の運行管理システムで管理し、依頼元や金額などの詳細を把握できるのは、担当者だけだった。受注管理にはMicrosoft Excel、車検管理にはGoogleスプレッドシートを用いるなど、情報は業務ごとに分散していた。担当者が不在になれば業務が回らなくなるリスクと、情報共有不足によるミスへの懸念が大きくなり、誰が見ても受注状況を把握できる管理への見直しを始めた。
kintoneは当初、大手企業が使うシステムという印象で、選択肢にはなかった。受注管理を特定の担当者に頼っていた小規模なバス会社が、kintoneで課題を改善した事例を見つけ、自社にも使えると考えた。導入事例を調べる中でも、アールスリーが開発を手掛けた大手バス会社の事例を見つけた。同じバス業界での実績があることから、サイボウズを通じて相談した。他社の見積もりも取ったが、料金が明確で導入後のフォローもある点を評価した。決め手は、サイボウズのイベント「Cybozu Days」で、希望する仕組みがkintone上でどのような形になるかを、画面で見せてもらったことだ。予算の都合で、高度なカスタマイズができないライトコースの利用を予定しており、できることとできないことを事前に説明された点も、判断につながった。
作ったアプリケーションの1つ目は、貸し切りバスの受注管理だ。誰が、どの顧客から、どのような仕事を、いつ受注したのかを、1つの画面で確認できる。営業担当者ごとの売り上げや粗利も集計でき、個人のMicrosoft Excelファイルで管理していた売り上げ情報も集約した。受注ごとに入金済みかどうかも確認でき、受注、売り上げ、入金の管理を1つのアプリケーションにまとめた。
2つ目は、Googleスプレッドシートで共有していた従業員の予定や業務内容を移したタスク管理で、「本日の作業」で絞り込むと、その日に誰がどこで何をしているかが一目で分かる。当初はカレンダー形式での表示を希望していたが、ライトコースでは制限があるため、絞り込んだ一覧をポータルに表示する方法を、アールスリーが提案した。
三つ目は、車両マスター、従業員マスター、乗務員の健康管理、車検証など、紙や複数のスプレッドシートで管理していた情報の集約だ。外出先でも、車検証のデータを確認してダウンロードできる。車検期限は、「来月の車検」という検索条件での一覧表示、絵文字、メール通知で把握できるようにした。この他、ツアー管理アプリケーションも作った。
これらのアプリケーションによって、情報を探したり、人に確認したりする時間が1日約1時間、月約30時間、年間約360時間の削減になると試算している。書類が見つからないストレスや、確認を忘れていないかと気にする負担も減った。決められた項目に沿って登録するため、個人の整理能力に左右されず、会社として同じルールで情報を管理できる。一般従業員にはデータを削除できない権限を設定し、誤操作によるデータの消失も防いでいる。
東関交通の浅川範仁社長は「自社の業務を一番よく知っている私たちと、kintone開発のプロであるアールスリーが一緒に作る。だからこそ、専門知識がない私たちでも、自社専用の仕組みを実現できた」と話す。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「東関交通、kintoneで受注管理の属人化を解消 情報確認など年約360時間減」(2026年10月13日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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