コーディングスキルは不要になるのか
AIを使い倒すエンジニアほど「将来のキャリア」に不安 身に付けるべき能力は?
スーパーソフトウエアの調査で、AIツールを日常的に使うエンジニアほど「コーディングスキル」だけでは不安だと捉えていることが判明した。開発現場で求められる役割はどう変化しているのか。
ソフトウェア開発でAIツールの導入が進む中、現場のエンジニアは自身のスキルセットや将来のキャリア形成に不安を感じている。システム開発会社のスーパーソフトウエアは、2026年8月17日から19日にかけて、ITエンジニアとして働く27歳から59歳の男女1265人を対象とした調査を実施した。その結果、全体の半数以上がプログラミング言語を用いた実装力以外の能力を身に付けなければ、将来への懸念があると考えている状況が示された。
業務でのAIツールの利用頻度が高いエンジニアほど、この傾向は顕著に表れた。AI時代の開発現場で、エンジニアはどのような能力を不可欠だと捉えているのか。
AIツール利用頻度と将来への危機感の相関
併せて読みたいお薦め記事
エンジニアに求められるスキルの変化
調査結果を見ると、ソースコードを書く力以外の能力不足への不安は、業務でのAIツールの利用頻度と強い相関がある。今後のキャリアに不安を感じるかどうかの設問では、「強く感じる」が19.1%、「ある程度感じる」が40.5%を占め、合計59.6%のエンジニアが懸念している。一方で「あまり感じない」は22.3%、「まったく感じない」は8.7%だった。「分からない」と回答した層は9.4%だった。
この不安を抱く層をAIツールの利用頻度別に細分化すると、実態がより明確になる。AIツールを「ほぼ毎日利用する」エンジニアのうち、85.6%が不安を感じると回答した。対照的に、「週に数回利用する」層は71.8%、「月に数回利用する」層は36.5%、「試したことはあるが現在はほぼ利用していない」層は31.5%と段階的に減少して、「利用経験がない」層は14.9%にとどまる。
ほぼ毎日利用する層と利用経験がない層の間には、70.7ポイントの開きがある。実務で最先端のツールに触れて、その限界や可能性を日常的に体感している層ほど、既存のスキルセットに固執することのリスクを重く見ている現状がある。
AI時代に求められる「出力の評価」と「指示出し」の技術
では、コーディングスキル以外に、どのような能力の重要性が増しているのか。今後重要性が高まる能力を問う設問(最大3つまでの複数回答)で、最も多く選択されたのは「AIに適切な指示を出す力」で34.8%だった。次いで「AI出力を見極める力」が29.2%、「最新技術を学ぶ力」が24.1%、「何を作るべきか整理する力」が17.8%と続く。
これまでは要件定義に基づいて正確なソースコードを記述する能力がエンジニアの中核とされてきた。しかし、AIツールが一定水準のソースコードを自動生成可能になったことで、役割は明確にシフトしつつある。システムに的確な入力を与えて、得られた結果の正確性やセキュリティ上の問題点などを検証して修正を加えるプロセスが不可欠だ。出力結果を無条件に受け入れるのではなく、専門知識に基づいて論理的に判断する能力が新たな実務要件として定着し始めた証左だ。
自動化環境下でも不可欠なプログラミング能力
生成AIの台頭によって、人間の手によるコーディング作業が不要になるという極端な予測も一部には存在する。しかし、現場のエンジニアの認識は複雑だ。「コードを書く力」が今後重要性を増すと回答した割合は全体で15.0%だったが、ここでもAIツールの利用頻度による差が見られた。
AIツールを「ほぼ毎日利用する」層には、24.3%が「コードを書く力」を選択した。「週に数回利用する」層の13.3%、「月に数回利用する」層の9.0%、「利用経験がない」層の9.1%と比較して、突出して高い数値だ。さらに、毎日利用する層は「AIに適切な指示を出す力」(40.6%)や「最新技術を学ぶ力」(32.5%)といった項目でも、未利用層(それぞれ18.9%、8.6%)を大きく上回る選択率を示した。
この傾向から読み取れるのは、AI関連スキルが従来のプログラミングスキルを単純に代替するわけではないという事実だ。AIツールが生成したソースコードの妥当性を評価して、複雑なシステムへ統合するためには、基礎となる強固な実装力が欠かせない。実務でAIを活用するエンジニアほど、深い技術理解を土台とした上で、新しいツールや知識を取り入れるという重層的なスキル構築の必要性を痛感していると分析できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
TechTarget ニュースプラス
国内のIT業界ニュースを迅速に報道します。企業動向から導入事例、市場トレンドまで幅広く取り上げ、実務に直結する情報をタイムリーに提供する連載です。
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[ネットアップ合同会社] 金融庁ガイドラインから読み解く、「次世代データレジリエンス」の在り方 -
製品資料
[ネットアップ合同会社] 製造DXでデータ活用ニーズが拡大 分散データ活用とAI活用をどう実践する? -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] AIで使いたいデータが内外に点在、研究におけるAI活用を阻む“真の課題”とは -
製品資料
[株式会社kickflow] 稟議・承認作業の「脱オンプレ・脱Excel・ペーパーレス化」を一気に進める方法 -
製品レビュー
[株式会社kickflow] ワークフローシステムのクラウド化 “みんなが不幸になる”事態を避けるには?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「年1回の外部診断」が限界に 大手小売が脆弱性管理を内製化・一元化した方法
-
2
そのアプリ危険かも? “野良アプリ”から「Android」「iOS」を守る防御策
-
3
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
4
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
5
徹底レビュー:仕事一筋のビジネス向けノートPC「ThinkPad T470」の実力は?
-
6
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
7
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
8
「ポケモンGO」の運営は“AI任せ”だと大失敗? レイドを支えるインフラの正体
-
9
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
10
なぜ老舗保険会社は「AWSへの全面システム移行」を選んだのか?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
7
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー