HPEとNVIDIAがタッグを組む真の狙い「AIファクトリー」構想とは：AIインフラ構築を支援

HPEは米ラスベガスで開催した自社イベントで、NVIDIAと連携したAI技術利用のインフラ構築製品や、パートナー企業に向けた支援策を発表した。どのようなものなのか。

[Simon Quicke，TechTarget]

　Hewlett Packard Enterprise（HPE）は2025年6月に開催したイベント「HPE Discover Las Vegas 2025」で、企業による人工知能（AI）技術の導入から活用までを支援する新しい製品／サービス群を披露した。同時に、AI技術の利用に関して、販売会社やシステムインテグレーター（SIer）といったパートナー企業を支援するための新たな施策も発表した。具体的な製品や支援策とは何か。

「Blackwell」でAIの力を引き出す「AIファクトリー」とは

併せて読みたいお薦め記事

インフラ選びのポイント

• かつてVMwareと歩んだDellが乗り出す、「選べるプライベートクラウド」の真意
• “米国一強”のAI時代にこそ考えたい、インフラ選びの「第二の視点」とは

　HPEが発表したのは、AI技術を利用する大規模システムを構築するための製品群「AIファクトリー」だ。この製品群は、GPU（グラフィックス処理装置）ベンダーNVIDIAのGPUアーキテクチャ「Blackwell」を採用したHPEのサーバを軸としている。BlackwellによってAI処理を高速化し、さまざまな業種でAI技術を使いやすくすることを目指している。

　その他、HPEはオンプレミスインフラを従量課金型で提供するサービス群「HPE GreenLake」のAIエージェント機能を強化する方針を明らかにした。AIエージェントとは、大規模言語モデル（LLM）を用いて、自律的な判断や処理を可能にする仕組みだ。企業はAIエージェントを使うことでさまざまな作業の自動化を図れる。

　HPEのプレジデント兼CEOであるアントニオ・ネリ氏はHPE Discover Las Vegas 2025で、「生成AIやAIエージェントは企業の生産性を根底から変え、社会に持続的な変革をもたらす可能性がある」と語った。一方で同氏によると、AI技術の力を引き出すには、最適なインフラ構築とデータ選定が欠かせない。企業はAI技術の利用に当たり、まずはインフラの整備に注力しなければならないと同氏は説明する。

パートナー支援を強化

　HPEはパートナー企業の支援も強化する。同社シニアバイスプレジデント（グローバルチャネルとパートナーエコシステム担当）のサイモン・ユーイントン氏は、「パートナー企業がAI技術の進化に乗り遅れないよう、サポートの強化が必要だ」と述べる。

　ユーイントン氏によれば、特にAIエージェントは新しい分野のため、AIエージェントに関する技術支援が不可欠だ。HPEはパートナー企業に対し、AIエージェントの活用方法や導入事例、設計方法、実装方法などをレクチャーする。ユーザー企業からAIエージェントについての問い合わせがあれば、すぐに応対できるよう支援策を実施する。そのために同社は、パートナー向け育成プログラムに、エージェントAIに関するテーマを追加したという。

　HPEはパートナー企業支援の一環として、NVIDIAとの連携も強める。「AI技術のトレンド全体や、パートナー企業に影響を与える動向についてNVIDIAと情報を共有し、それに基づいてパートナー向けの資料を作成する」（ユーイントン氏）