思っていたほどマネジメントも悪くない
7割の抵抗感から一転 4割のエンジニアが「管理職」昇進で年収100万円増
専門職にとって、マネジメントへの転向は人間関係の壁などの不安が付きまとう。ところが就任後には、4割超が年収100万円増を実現し、やりがいを見いだしている。葛藤を乗り越えた先にあるキャリアの実態とは。
ITエンジニアのキャリアパスにおいて、管理職への移行は大きな転換点になる。技術志向が強いエンジニアにとって、マネジメント業務は一見すると敬遠されがちな選択肢だ。IT人材事業を展開するキッカケクリエイションが実施した調査によれば、就任前には多くのエンジニアが不安を感じているものの、実際に管理職を経験すると前向きな評価に変わる傾向があることが分かった。
人材不足が深刻化するIT業界では、技術とマネジメントの両方を理解できる人材の価値が高まっている。現場の最前線でコードを書き続けるか、組織を率いてより大きな課題に取り組むか。この選択に直面したエンジニアたちは、管理職という役割にどのような本音を抱いているのか。
就任後に得られる恩恵や、現場のエンジニアが直面するマネジメントの壁について、調査データの詳細を解き明かす。
リアルな声から読み解く「現場離れの恐怖」と「見返り」
本調査は、2025年10月29日から31日にかけて、ITエンジニアから課長相当以上の管理職になった経験を持つ218人を対象に実施された。
調査結果は、管理職への移行に対して約7割のエンジニアが事前に抵抗感や不安を抱いていたことを示している。具体的な不安要素としては、「部下やチームメンバーとの人間関係の構築」(56.4%)や「技術から離れ、スキルを生かせなくなること」(42.3%)が上位に挙がった。技術という論理的な対象から、多様な感情を持つ人間へと向き合う対象が変わることに対する戸惑いが浮き彫りになっている。
しかし、実際に管理職に就任した後の評価は反転する。約7割の回答者が、管理職になって「良かった」と感じている。その理由として最多だったのは、「チーム全体の成果を生み出す達成感を得られたから」(46.0%)だ。個人の作業では到達し得ない規模のプロジェクトを、チームの力を結集して成功に導く経験が、新たなやりがいを生み出していると考えられる。
経済的な恩恵も見逃せない。管理職就任によって年収が上がったことを利点として挙げた人は42.7%に上った。実際の年収変化を見ても、43.2%が「100万円以上」の増加を経験しており、待遇が改善している実態が明らかになった。
マネジメントの壁と今後の展望
一方で、管理職としての業務は順風満帆ではない。8割以上の回答者が、働く中で「難しさやギャップ」を感じたと答えている。ここでも最大の課題として「人間関係の構築」(50.8%)が挙がっており、事前に抱いていた不安が現実の壁として立ちはだかっていることが分かる。
これらの課題に対し、回答者は「マネジメントに関する書籍やセミナーで学ぶこと」(35.2%)や「試行錯誤しながら自分なりのやり方を見つけること」(34.6%)といった主体的な解決策に取り組んでいる。直面した課題に対し、マネジメントを新たな専門領域として捉え、自ら学びながら試行錯誤を通じて解決策を模索する、主体的な姿勢がうかがえる。
こうした試行錯誤を経て、約8割が「ITエンジニアから管理職になった経験は今後のキャリアに生きる」と実感している。これから管理職を目指すエンジニアへの助言として、回答者は「コミュニケーション経験を積むこと」(42.7%)や「マネジメントやリーダーシップに関する知識を身につけること」(42.2%)を推奨した。
人材確保が急務となる現代のIT業界において、技術的知見を土台としつつ、組織をけん引できるリーダーの育成は企業の重要課題だ。管理職というキャリアパスは、エンジニアにとってキャリアの可能性を広げる有効な選択肢として、ますます重要性を増すことが見込まれる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget ニュースプラス
国内のIT業界ニュースを迅速に報道します。企業動向から導入事例、市場トレンドまで幅広く取り上げ、実務に直結する情報をタイムリーに提供する連載です。
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
SNS認証や多要素認証も数分で実装、IDaaS基盤でデジタルビジネスはどう変わる? -
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ソフトウェア開発生産性向上に取り組む企業は4割 調査で学ぶ「停滞」の正体
-
2
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
6
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
7
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
8
「即戦力」は幻想? 中途の3割が消えるAI時代のエンジニア生存戦略
-
9
「Linuxサーバの長期運用とRed Hat Enterprise Linux」に関するアンケート
-
10
Synologyがエンタープライズ向けユニファイドストレージを投入 その実力は
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
AIエージェントで成果は出る? 調査結果に見る費用対効果の実態
-
9
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
10
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー