266台のサーバを止めずに移した秘策
VMware製品の「費用2倍」をどう回避した? 東急不動産HD“6週間”の脱出劇
ライセンス体系変更に伴い、2025年のVMware製品更新費用が2倍以上に高騰する見通しとなった東急不動産HD。同社がわずか6週間で266台のサーバを新インフラに集約し、利用費用を4割削減したプロセスを詳解する。
東急不動産ホールディングスは2022年から2年半かけて、グループ各社の業務システムを「VMware Cloud on AWS」(VMC on AWS)に集約してきた。VMC on AWSは、「Amazon Web Services」(AWS)のインフラでVMware製品を稼働させるサービスだ。しかし、2023年末のBroadcomによるVMware買収に伴うライセンス体系の刷新を受けて、2025年の契約更新時にはVMC on AWSの利用費用が従来の2倍以上に達することが判明した(参考:ニュータニックス・ジャパンの発表資料)。
この急激な費用増とサービス継続性への懸念に対し、東急不動産ホールディングスが出した結論は、仮想化インフラを、AWSのインフラでNutanix製品を稼働させる「Nutanix Cloud Clusters on AWS」(NC2 on AWS)へと切り替えることだった。
最大の障壁は、すでにVMC on AWSで稼働していた266台の仮想サーバと15TBに及ぶデータを、いかに短期間かつ業務への影響を最小限に抑えて移行するかという点にあった。グループ各社のIT担当者からは、過去の移行実績と照らし合わせて数カ月での完遂を危ぶむ声も上がったが、同社は実質6週間という極めて短期間で全サーバの切り替えを実現した。
東急不動産ホールディングスはなぜ「超短期間での脱VMware」を実現できたのか。同社が採用した技術と移行手法を解説する。
「費用40%削減」を実現した技術選定の決め手
併せて読みたいお薦め記事
Nutanixが脱VMwareの糸口に
東急不動産ホールディングスは、人事、給与、財務会計、営業管理などの基幹業務システムを支えるインフラを、ハイブリッドマルチクラウドを実現するNC2 on AWSに移行した。2026年4月22日、ニュータニックス・ジャパンが発表した。今回の移行によって、仮想化インフラの利用費を従来と比べて40%低減するとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるAI(人工知能)技術活用に向けた適応力のあるインフラを構築した。
東急不動産ホールディングスはDX推進の一環として、システムの拡張スピード向上を目指し、業務システムのクラウド化を重点的に進めてきた。2022年以降、AWSのマネージド仮想化インフラであるVMC on AWSへの移行を推進してきたが、利用条件の変更に伴う費用増加が課題となっていた。そこで、クラウドファースト戦略を維持しつつ費用最適化を図るため、新たなインフラとしてNC2 on AWSの採用を決めた。
今回のプロジェクトでは、基幹システムを支える多数の仮想サーバと膨大なデータを、6週間で移行を完了させた。移行に当たってはNutanixによる技術支援を活用し、エンドユーザーの業務に影響を与えることなくスムーズな切り替えを実現した。
新たなインフラの導入によって、費用の低減だけでなく、コンピューティングリソース管理の自由度も向上した。今後はマルチクラウド管理ツール「Nutanix Cloud Manager」を活用したクラウドリソースの最適化を継続するとともに、今回整備した強固なインフラを土台として、生成AIの活用など「攻め」のDX施策を後押しする。事業継続計画(BCP)対策のさらなる強化にも取り組む。
東急不動産ホールディングス グループDX推進部ITインフラ企画グループの愛川洋一氏は、「NC2の採用によって、DXの守りである安定したインフラが整備され、クラウド支出を最適化する手段も得られた。今後はハイブリッドクラウドやマルチクラウドにおける拡張性を生かし、AI活用などの取り組みを加速させていきたい」と話す。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「東急不動産HD、基幹基盤をNutanixへ移行 コスト4割削減とAI活用の土台整備」(2026年4月23日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[パロアルトネットワークス株式会社] 現代の働き方に潜むセキュリティ課題とは? 解消に導く2つの注目技術を解説 -
製品資料
[パロアルトネットワークス株式会社] 生成AIのセキュリティリスクにどう対処する? 経営層が知るべきポイント -
製品資料
[パロアルトネットワークス株式会社] AIで真の包括的セキュリティを実現、ハイブリッドワーク時代に選ぶべきSASEとは -
市場調査・トレンド
[パロアルトネットワークス株式会社] 最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策 -
製品資料
[クラウドストライク合同会社] AIシステムのセキュリティを確保するためのプレイブック
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
「顧客の声」は負担ではなく資産 サーモスのコンタクトセンターに見る未来の姿
-
3
なぜMicrosoftは「Rust」を標準言語に? AIで進むC/C++書き換えの課題
-
4
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
5
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
6
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
7
壊れていない基幹システムをなぜ「SAP」へ? 創業80年メーカーの決断
-
8
なぜ「Claude Code」拡張は消しても危ないのか? Cursorで不正版配信
-
9
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
10
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
3
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
4
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
9
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
10
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー