充実してほしい「iOS」のビジネス向け機能
これがあれば「iPhone」がもっと便利に、Appleに勧めたい新機能要望リスト
間近に迫ったiOS 8のリリースによって、ビジネス市場へ歩みを進めているAppleだが、企業の全てのニーズを満たすためには、まだやるべきことがある。
米Appleは、モバイルOS周辺のセキュリティと管理の問題に対処するための措置を、段階的に講じてきた。2014年6月に開催されたAppleの開発者向けカンファレンス「Worldwide Developers Conference 2014」(WWDC 2014)では、基調講演で企業向けのセクションを設けたほどだ。「iOS 8」になれば、企業はAppleデバイスを管理するための手段を、これまで以上に多く手に入れられるだろう。
しかしながら、IT担当者にとっての幾つかの悩みの種にはまだ手付かずだ。AppleはiOS 8で、Appleデバイス間のWi-Fi接続経由でファイルの共有を可能にする「AirDrop」関連の機能を強化する予定だが、それだけではまだ不十分なことが幾つかある。
米IT調査サービスNetMarketShare.comの2014年5月のデータによると、Windows PCは市場シェアの約91%を占め、デスクトップで支配的な地位にある。だが、米アラスカ州の公益事業会社のITディレクターを務めるマット・コシュト氏は、AppleがiOSデバイスとWindows PC間で、AirDropスタイルでの共有を可能にするチャンスに気付かないふりをしていると考えている。
「大きな市場になり得るWindows PCとの連係をなぜ見逃すのだろう?」とコシュト氏は問う。
ITマネージドサービスプロバイダーでApple製品のリセラーでもある米Tech Superpowersの創業者兼社長、マイケル・オー氏によると、そのシナリオは、WindowsとPCを提供するOEMメーカーが別々であることを考えると、Appleが実現するものではないかもしれないという。
AppleがWindowsデバイスとの統合を進めるためには、オープンスタンダードが確立される必要がある。それは「最近の歴史の中で、Appleが労力を費やしてきたことではない」とオー氏は語る。
「ハードウェアとソフトウェアのシームレスな統合は、Appleにとって不可欠な要素だ」(オー氏)
Appleは、Windows 7以降のPCでも利用できる新しい「iCloud Drive」で、外部のプラットフォームに対応しようとしている。しかし、iOSを実行していないモバイルデバイスには対応しない。
米調査会社VDC Research Groupのシニアモビリティアナリストであるエリック・クライン氏は、「Appleは、近年では、米MicrosoftとカナダBlackBerryのような競合他社と同じやり方でエコシステムを拡大している」と指摘する。その動機の一部は、Appleがエンタープライズ市場の価値をより素直に認めたことによるのかもしれない。
「市場へのアプローチの方法として、Appleは非常にはっきりとしたコンシューマー志向の姿勢を持ち続けている。エンタープライズ市場に焦点を置くことは長年の懸案だった」(クライン氏)
コシュト氏は、「コンシューマー市場におけるAppleの優位性は、Appleのやり方が正しいことを証明するものだが、Appleは企業が抱える課題にもっと積極的に取り組むことができるだろう」と話す。
「だが、Appleがエンタープライズ市場に真剣に取り組もうとするなら、これまでよりも多くのことをオープンにする必要がある」(コシュト氏)
Touch IDセンサーが企業向けビジネスのチャンスを生む
Appleは、指紋認証機能「Touch ID」のAPIをサードパーティーの開発者に公開する予定だ。これにより、開発者が作ったアプリでTouch IDを使用できるようになる。AppleはiOS 8で、数々のネイティブアプリにパスコード機能を追加するとともに、IT担当者には多くのセキュリティオプションを用意しなければならない。
しかし、Touch IDは、2要素認証のセキュリティレイヤーではなく、パスコードの代わりとして捉えられている。また、Touch IDはiPhoneの最新世代でのみ利用可能で、iPadには採用されていない。
オー氏は、2要素認証を内蔵したタブレットは、企業にとって非常に魅力的だと考えている。
「セキュリティ保護のためのUSBキーなどは、企業のノートPCではかなり一般的に使われている。モバイル領域では、タブレット用のUSBキー、または何らかの形で接続が必要な物理トークンが求められる」(オー氏)
クライン氏は、「モバイル管理ベンダーはTouch IDのAPIを利用し、セキュリティ関連でより多くのビジネスの機会を得ることができる」と予測している。
iCloud Driveは、企業にとって頭痛の種になるだろうか?
iOS 8および“Yosemite”(Mac OS Xの次期バージョン)と同時にリリースされるiCloud Driveでは、デスクトップ上の「Finder」からファイルをオンラインに保存できるようになる。同じことがWindows 7以降のOSを搭載したWindows PCでも可能になる。
しかし、iCloud Driveには、米Dropboxの「Dropbox」と同様の課題をIT部門に提起する可能性がある。セキュリティ対策が施されていない場所に社員が社内データを保存できてしまうという問題だ。
他のコンテンツ管理システムやクラウドストレージシステム、例えば、米Boxの「Box」、米Googleの「Google Drive」、Microsoftの「Microsoft OneDrive」など多くのシステムには、ここ数カ月の間に、セキュリティ機能とIT部門向けの管理機能が追加されている。コシュト氏のようなIT管理者にとっては、データの行き先をコントロールできることが重要であり、iCloud Driveが企業で生き残れるかどうかについて疑問は残る。
クライン氏によると、一部の大手クラウドストレージベンダーは欠陥を見抜かれ激しく非難されているが、一方で、Dropboxのような会社は、強固な企業向け機能を追加しているという。
「エンタープライズ市場は現在、かなり脚光を浴び、幅広い登場人物がせめぎ合っている。そして今そこに、Google、Microsoft、Appleがそれぞれ独自の方法で参入してきた。これら全てが結局のところどうなるのか、非常に興味をそそられる」(クライン氏)
Appleにコメントを求めたが、回答はなかった。
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