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「クラウドをバックアップデータの複製先」とする場合の構成と注意点バックアップ/災害対策にクラウドを使いこなす【第2回】(1/2 ページ)

クラウドをバックアップデータの複製先として利用する際の構成パターンと注意点を解説する。希望の構成パターンの実現可否をベンダーに確認することで、製品/サービス選定に役立てることができるだろう。

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 前回の「クラウドをバックアップ/DRに活用するには? 目的別に要件を固める」では、クラウドを活用したバックアップの「目的と要件」および大まかな「構成」を以下の3つに分類して説明した。

クラウドバックアップの目的と要件
1 クラウドを「長期保管先の安価なストレージ」として利用したい
2 クラウドを「バックアップデータの複製先」として利用したい
3 オンプレミスからクラウドへ「サイト間のシステム切り替え」をしたい

 今回は、2つ目の「クラウドをバックアップデータの複製先として利用したい」というニーズを実現するために、詳細な構成パターンと注意点について紹介する。1つ目の「クラウドを長期保管先の安価なストレージとして利用したい」については、バックアップ/災害対策(DR)と少し目的が離れるので、文末のコラムで補足することにする。

 クラウドをバックアップデータの複製先にする際の構成要素は、以下の3つに分類できる。

クラウドをバックアップデータの複製先にする際の構成要素
1 オンプレミス環境でのバックアップ方式              
2 レプリケーション方式
3 クラウドでの複製データの保管方式

クラウドをバックアップデータの複製先にする際の構成要素

 3つの構成要素について、それぞれ詳しく見ていこう。

1.オンプレミス環境でのバックアップ方式


クラウドをバックアップデータの複製先にする際の構成要素

 オンプレミス環境のバックアップ方式は大きく分けて2種類ある。「バックアップソフト/アプライアンス(注1)」と「ストレージのコピー機能(注2)」だ。どちらを選択すべきか。または両方を併用すべきか。判断のポイントを以下に示す。

※注1:正確には統合型バックアップアプライアンス。

※注2:ここではストレージのスナップショット、クローン、レプリケーション機能を指す。

 なお、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)にもバックアップの機能があるが、HCIを構成するSoftware-Defined Storage(SDS)の機能を使用するので、「ストレージのコピー機能を使う方法」と考えてよいだろう。

 以下に、バックアップ方式を検討する際の注意事項「永久増分バックアップ」「データの整合性」「リストア単位、オンプレミス環境でのリストア所要時間」について説明する。

1−1.永久増分バックアップ

 1日に1回、バックアップデータをクラウドに複製したい(注3)のなら、当然だがオンプレミス環境も日次でバックアップを取得する必要がある。バックアップ対象の総容量が小さい場合はあまり気にならないが、総容量が大きい場合は、永久増分バックアップで取得する。永久増分バックアップは、更新や追加されたデータのみを取得する増分バックアップと同等の時間で、フルバックアップを実現する(参考:「フルバックアップが終わらない」を解決する2つの方法)。多種類のデータの永久増分バックアップが可能なバックアップソフト/アプライアンスがお薦めである。ストレージのコピー機能であるクローンやレプリケーションは、初回はボリューム全体がコピーされるが、2回目以降は変更があった増分ブロックを取得するので永久増分バックアップと考えて問題ない。

※注3:災害発生の時点からどの程度直近のデータを戻せるかを示すRPO(目標復旧地点)を1日と定義した場合。

1−2.データの整合性

 データの整合性を確保することも重要である。ファイルサーバのデータやログなどのテキストデータであれば整合性の考慮は不要で、ストレージのコピー機能のみの実施で問題ない。その他のデータは基本的には整合性を考慮する必要があり、バックアップソフト/アプライアンスまたはストレージのコピー機能と連携するストレージベンダー提供のバックアップソフトウェアを使用する必要がある。

1−3.リストア単位、オンプレミス環境でのリストア所要時間

 リストアの要件についても確認が必要だ。リストアしたい単位とリストアに許容できる所要時間によって、バックアップソフト/アプライアンスか、ストレージのコピー機能のどちらを使用すべきかが決まる。

バックアップソフト/アプライアンス、ストレージのコピー機能のリストア単位/所要時間
バックアップ方式 リストア単位 オンプレミス環境でのリストア所要時間
バックアップソフト/アプライアンス システム単位、ファイル単位、データベース(DB)/アプリケーションのデータ単位などから選択可能 本番ストレージ/システムにリストアしないとデータが使用できないため、総容量が大きいと時間を要する
ストレージのコピー機能 基本的にはボリューム単位
システム単位、ファイル単位、DB/アプリケーションのデータ単位などに対応できるかどうかは、ストレージ製品や併用するストレージベンダー提供のソフトに依存する
本番システムからのマウント対象のボリューム(記憶領域)をクローン(複製)ボリュームに切り替えるだけで、総容量に関係なく短時間でデータが使用可能になる

 「部分的な障害に対する細かな単位のリストア要件」と「大規模障害時のシステム全体の即時復旧要件」の両方が必要なシステムに関しては、バックアップソフト/アプライアンスとストレージのコピー機能の併用を検討すべきである。

2.レプリケーション方式

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