ランサムウェアなどの新たな脅威に対抗
新マルウェア対策「モバイル脅威検知」「UEM」「マイクロ仮想化」とは
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などの新たな脅威に対処するには、防御側にも新たな対策が必要となる。Windowsデバイスやモバイルデバイスを狙う、現代のマルウェアへの対抗策とは。
社内デバイスの多様化に伴い、そうしたデバイスを狙うマルウェアも多様化している。
デバイス管理者やセキュリティのプロフェッショナルは、ウイルスやワーム、スパイウェアに加えて、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)のような新興のマルウェアに対する守りを固めなければならない。そのためには「モバイル脅威検知」や「統合エンドポイント管理」(UEM)といった新技術が必要だ。モバイルデバイス向けマルウェア(以下、モバイルマルウェア)の検出や防御に関する限り、従来型のアプローチでは十分な効力を発揮できない可能性がある。
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ITがモバイルマルウェア検知を必要とする理由
企業のモバイルデバイス活用や「BYOD」(私物端末の業務利用)制度採用の広がりは、企業に新しいリスクを呼び込んだ。セキュリティベンダーMcAfeeのモバイルマルウェア検出ソフトウェアで発見されたモバイルマルウェアは、2017年第3四半期(7~9月期)だけで、2016年比100%増の1600万件を超す。2018年第1四半期(1~3月期)のモバイルマルウェアに関する同社の報告書によると、その数は2018年を通して増え続ける見通しだ。
その影響は、長年の間、Windowsと比べてはるかにマルウェアに対する耐性が高いと思われていたAppleの「Mac」にさえも及んでいる。Apple情報サイトMacworldの記事に掲載されたセキュリティベンダーBitdefenderの報告によると、既知の「macOS」の脆弱(ぜいじゃく)性の件数は、2017年に2016年から28%以上増加した。モバイルマルウェアやmacOSマルウェアは大抵の場合、悪質なアプリケーションや改ざんされたアプリケーションの形を取り、エンドユーザーをだましてデバイスにダウンロードさせ、インストールするよう仕向ける。
Windowsマルウェアとモバイルマルウェアの状況
企業向けのデバイスは今もWindowsデバイスの独占状態にある。Windowsマルウェア対策が優先課題であることに変わりはない。
マルウェアはさまざまな手口を通じてデバイスに感染する。Microsoftは最も一般的な手口として、悪意のあるメール、改ざんされたWebサイト、マルウェアに感染したUSBメモリなどの物理メディアを挙げる。
Windowsマルウェアはさまざまな形で姿を現す。ウイルスはファイルやアプリケーションを破損したり、サービス停止(DoS)攻撃を仕掛けたりする。ワームは社内LANを横断して増殖し、貴重なネットワークリソースを消費する。スパイウェアはユーザー情報を盗む。通常のプログラムを装って侵入するトロイの木馬は、侵入したデバイスを制御する。
トロイの木馬は一般的に、ランサムウェアのインストールに使われる。ランサムウェアはデバイスを使えない状態にしてデータへのアクセスを妨害し、被害者に身代金の支払いを要求する。モバイルマルウェアを使う攻撃者も、ランサムウェアに注目するようになっている。攻撃者にとって、ランサムウェアは従来のマルウェアと比べて、はるかに実入りが良いためだ。
同じ理由でモバイルバンキング攻撃も増えている。こうした攻撃を仕掛けるモバイルマルウェアは、フィッシングの手口を使い、銀行や電子商取引の公式サービスに見せかけたWebサイトにエンドユーザーをおびき寄せて、金融情報を入力させる。セキュリティベンダーKaspersky Labが、モバイルマルウェアについてまとめた2017年の報告書によると、同年検出されたモバイルバンキングを狙うトロイの木馬は9万4000件以上、モバイルデバイス向けランサムウェアのトロイの木馬は54万4000件以上に上る。
Windowsマルウェア対策だけでは不十分な理由
従来のWindowsマルウェア対策は、インストールしたソフトウェアでデバイスをスキャンして既知の脅威を検出し、感染ファイルの修復や削除の措置を講じる「エージェント」ベースのアプローチが主流だった。この種のマルウェア対策製品は、今も企業の全般的なセキュリティ対策の一部として重要だ。だが幾つかの理由から、それだけでは十分とはいえない。
セキュリティベンダーは、顧客のインフラについて継続的に調査と監視をしている。だが現代のマルウェアはあまりに数が多く、その全てを検出するのは不可能だ。ベンダーが知らないマルウェアについては、その会社のマルウェア対策ソフトウェアで食い止めることはできない。
エージェントベースのマルウェア対策は、Appleの「iOS」デバイスでは一般的に役に立たない。こうしたマルウェア対策製品がセキュリティを守るためには、デバイス内の全てのアプリケーションとファイルにアクセスする必要がある。だがiOSデバイスは、各アプリケーションやファイルをサンドボックス(隔離環境)の中で実行するため、相互のやりとりは制限される。
こうした中、従来型デバイス向けマルウェアとモバイルマルウェアの検出を支援する、以下のような新技術が浮上してきた。
- モバイル脅威検知
- さまざまなシステムや指標を監視して、マルウェアや脆弱性などの潜在的リスクを洗い出す。OSやAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)、デバイスに出入りするネットワークトラフィックなどを検査する
- UEM
- さまざまなデバイスを一括管理できるUEMには「モバイルデバイス管理」(MDM)が含まれる。IT管理者は、悪質なアプリケーションのブラックリスト作成、ユーザー認証をはじめ、モバイルマルウェア検出/感染防止に向けたポリシーの強制に、MDMを利用できる。一部のUEM製品は、不正なアプリケーションの自動的な修復/削除といった形で、モバイル脅威検知製品のアラートに対処できる
- マイクロ仮想化
- OSとWebブラウザの処理を互いに独立した環境で実行する。このアプローチでは、マルウェアの拡散を阻止することが可能で、ランサムウェアによって全システムとLANがダウンする事態を防止できる。Microsoftは「Windows 10」にマイクロ仮想化技術を組み込んでいる
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