東京大学教育学部附属中等教育学校のIT導入事例
東大附属が汎用スキャナーで使える自動採点システムを導入、その選定理由は?(1/2 ページ)
双生児研究で知られる東京大学教育学部附属中等教育学校が、マークシート形式のテストを自動採点できるシステムを導入した。同校教諭の對比地 覚氏に、その選定理由や導入効果を聞いた。
旧制東京高等学校尋常科を前身として1948年に発足した、東京大学教育学部附属中等教育学校(東京都中野区)。中高一貫教育の実践にとどまらず、双生児を生徒として数多く入学させ、双生児の学力や心身の発育などに関する研究に取り組むなど、ユニークな教育を実践してきた。現在は主体的な探究活動を意味する「ディープアクティブラーニング」と呼ぶ取り組みを推進している。
東大附属では国語、理科、英語といった一部教科で、校内テストの採点や集計、帳票出力をITの力で効率化している。そこで活用しているのは、スキャナー関連製品を手掛けるスキャネットのマークシート「スキャネットシート」と、同社の採点支援ソフトウェアだ。その導入や製品選定の理由とは何か。導入効果はどのようなものなのか。同校の校内IT活用を推進する、理科教諭の對比地(ついひじ) 覚(さとる)氏に話を聞いた。
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導入したシステム:マークシートの自動採点を可能に
東大附属が利用しているスキャネットの採点支援ソフトウェアは、大学入試センター試験対策を想定した「らく点マークくん3Lite」と、マークシートに加えて記述式テストの採点支援機能を持つ「デジらく採点」だ。對比地氏は主に、らく点マークくん3Liteを活用。担当する4年生と6年生(それぞれ高校1年生、3年生に相当)の理科における大学入試対策の一環として、授業中の小テストという形で、マークシート形式のテストを実施している。
對比地氏は大学入試センター試験を模したスキャネットシートの「センター模擬シート」を用いて、本番さながらの模擬試験を実現できるようにした。センター模試シートの読み取りには、市販の汎用(はんよう)スキャナーを活用。らく点マークくん3Liteは事前登録した正答と照らし合わせて、読み取った解答を自動採点し、個人成績表をはじめとする帳票を出力する。
草の根で広がった製品利用
東大附属では現在、40人いる教員の約1割に当たる5人程度の教員が、スキャネット製品を利用している。對比地氏のように、大学入試を想定したマークシート形式のテストでの利用に力点を置く教員もいれば、「テストの採点作業を効率化できる」という理由から利用を開始した教員や、前期課程(中学校に相当)のクラスに活用している教員もいると、同氏は説明する。
選定のポイント:入試本番に近いマークシートが手軽に利用できる点を重視
「生徒にマークシート形式の解答に慣れてもらいたかった」。對比地氏はスキャネット製品の導入理由を、こう説明する。
大学入試センター試験を中心に、大学入試ではマークシートが広く導入されている。にもかかわらず、それまでマークシート形式のテストを実施する環境が整っていなかったことを、對比地は課題だと感じていたという。同氏は実現方法を模索する中、校内の他の教員に、スキャネット製品の活用経験があることを耳にした。同氏はその評価を聞き、試用版を利用しながら使い勝手を検討する中で、「自分でも使いたいと考えるようになった」と振り返る。こうして2014年に、東大附属はスキャネット製品の利用を本格的に開始した。
對比地氏がスキャネット製品を選定する際のポイントとなったのが、汎用スキャナーや校内にある複合機を使ったスキャンが可能な点だ。マークシート採点支援製品の中には、マークシートを読み取るための専用スキャナーの購入が必要な製品もある。スキャネット製品であれば、こうした高額な専用機器を購入することなく利用できる。
ソフトウェア導入のコスト負担が軽減できることも、選定を後押しした。東大附属が導入したスキャネットのソフトウェアのうち、らく点マークくん3Liteは20万5200円(税込)で販売している。ただし任意のスキャネットシート2箱(センター模試シートの場合、1箱は1000枚)を購入すれば、高等学校に限り無料で利用できる。東大附属は中等教育学校だが、スキャネットによると高等学校と同様に無料にしているという。実質的に、コストがかかるのはスキャネットシートのみとなる。
スキャネットシートそのものはテストの解答用紙であり、各教科に付された教材費として購入できる、と對比地氏は説明する。理科であれば、実験用の試薬や実験器具などの費目と同じように購入できるというわけだ。もともとある予算で購入ができる点も、導入のしやすさにつながった。
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