なぜIT業界で人員削減が続くのか【後編】
「IT業界の人員削減」が止まらない“複雑過ぎる要因”
パンデミックを契機とした高成長期が終わり、IT業界では人員削減が相次いでいる。IT企業の人員削減にはさまざまな要因が影響している。
IT企業の大規模なレイオフ(一時解雇)が目立っている。その背景には、経済や社会の不確実性だけではないさまざまな変化がある。IT企業が人員を削減するのはなぜなのか。直近で報告されている主な人員削減の計画と共に、IT企業が人員削減をする“9つの要因”のうち、残り4つを紹介する。
IT企業が人員削減に踏み切る、複雑な要因
併せて読みたいお薦め記事
連載:なぜIT業界で人員削減が続くのか
人材市場の注目動向
要因6.パンデミック時に採用し過ぎた従業員の削減
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、社会のさまざまな面がデジタル化した。その結果として一部のIT企業は売上高を大幅に伸ばし、積極的に人材を採用した。例えばMeta Platformsの従業員数は2020年3月で4万8268人、2022年9月には8万7314人と急激に増加した。ところが2022年11月、同社は1万1000人のレイオフを発表した。
パンデミックを経て出社回帰やリアルイベント(実際に会場に集まるイベント)が広がり、社会はパンデミック前の状態に戻りつつある。その結果、IT製品やサービスの需要が落ち着き、人的なリソースに余剰が生じやすくなった。
要因7.経験豊富な人材の需要減
パンデミック中にIT企業が雇用した従業員の大半は新人ではなく、手厚い待遇を前提とした経験豊富なITエンジニアだ。パンデミックによる高成長が収束すれば、パンデミックを契機に雇用した従業員を整理する必要性が出てくる。
要因8.IT業界の成熟
IT業界の人員整理は、業界が十分に成長し、各社の業績が安定した結果だとも言える。既に顧客を十分に獲得できていれば、新規顧客を獲得するのではなく、製品やサービスの多様化やグローバル展開に注力する方がより良い戦略になる場合がある。その場合は人員整理が必要になることがある。
要因9.シリコンバレー銀行の経営破綻
2023年3月にシリコンバレー銀行(SVB:Silicon Valley Bank)が経営破綻したことでIT業界に衝撃が走った。SVBは、他行がリスクを取りたがらない中でIT分野のスタートアップ(設立後間もない企業)に融資してきたのだ。SVBが経営破綻したことで他の投資家がリスクを取ることに慎重になり、IT企業は融資を受けにくくなると考えられる。
主な人員削減
企業による発表や複数の報道を基に主な人員削減の動向をまとめた。
- Meta Platforms
- 2022年11月の1万1000人、2023年3月の1万人と数回に分けて人員整理を実施すると発表
- Amazon.com
- 2022年11月に1万人を解雇
- 2023年1月に1万8000人、同年3月に9000人の人員整理を実施すると発表
- Accenture
- 2023年3月に、従業員の2.5%に当たる約1万9000人を解雇すると発表
- X(旧Twitter)
- 実業家のイーロン・マスク氏は2023年4月、Xの従業員の約80%(6000人以上)を解雇したとBBCのインタビューで公表
- SAP
- 2024年1月、8000人を対象に人員削減を含めた再編計画を実施すると発表
- Cisco Systems
- 2024年2月、従業員の5%に相当する4000人以上を解雇すると公表
- PayPal
- 2024年1月、従業員の9%に当たる2500人を解雇すると発表
- eBay
- 2024年1月、1000人の人員削減を実施すると発表
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
7
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
8
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
9
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
10
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー