企業はハッカーコンテストを支援せよ
就活不人気のセキュリティ職、ミレニアル世代を振り向かせるには?
サイバーセキュリティ分野のキャリアの魅力を若い世代に伝えるのはそう難しいことではないが、そのためには、IT業界が教育に力を入れなければならない。そして、企業が若い世代を導く必要がある。
RaytheonとNational Cyber Security Allianceが最近実施した調査では、18~26歳のミレニアル世代は、サイバーセキュリティのキャリアに進もうとしていないことが明らかになった。この原因は、セキュリティ職に対する認識不足とコンピュータ科学の学位取得の選択肢が限られていることにある。これは、情報セキュリティの労働人口にどのような影響があるのだろうか。また、ミレニアル世代にサイバーセキュリティのキャリアに関心を持ってもらうために、雇用主やセキュリティマネジャーは何ができるのだろうか。
数字が語る“若者のセキュリティ離れ”
Raytheonによる調査結果が公開されたのは2015年10月だが、この調査はZogby Analyticsにより2015年7月29日から8月10日の間に実施された。回答したのは、オーストラリア、エストニア、フランス、ドイツ、日本、ポーランド、カタール、韓国、サウジアラビア、英国、アラブ首長国連邦、米国在住の18歳から26歳までの若者3871人だ。
ミレニアル世代の79%が「実際にサイバーセキュリティ専門職に就いている人と一度も話をしたことがない」と答え、46%は「サイバーセキュリティに関するプログラムや活動に参加する機会は全くなかった」と回答している。調査に参加したミレニアル世代の大半(69%)は、中学校から大学までに必要な授業がなくスキルが得られなかったと考えている会社員だ。ただし、この数字は中東の国の方が世界の他の国よりも高い。
この状況は明らかに、有能なサイバーセキュリティ人材の獲得に影響している。だが、ミレニアル世代にサイバーセキュリティのキャリアに関心を持ってもらうために、雇用主やセキュリティマネジャーは何ができるのだろうか。米国では、やれることがたくさんある。まずはどのような取り組みが現在行われているのかを見てみよう。
企業はハッカーコンテストをサポートせよ
2004年2月、教育者、学生、政府と業界の代表者がテキサス州サンアントニオに集結し、現在の全米大学サイバーディフェンス競技会(NCCDC)について議論した。これは毎年加盟大学の学生が争う、ハッカーの全国大会だ。
例えば、2008年には、カリフォルニア州立工科大学ポモナ校が、カリフォルニア、アリゾナ、ネバダ州の大学を含めた、「米国西部大学サイバーディフェンス競技会」(WRCCDC)を主催した。WRCCDCは、ポモナ校や他州の大学の学生を含め、参加者が1000人を上回る規模に発展している。今では、NCCDCの地方大会は10カ所で開催され、全国大会では全米タイトルを巡る戦いが繰り広げられる。2016年の全国大会は、4月24~26日にサンアントニオで開催された。本大会のスポンサーには、Homeland Security、Splunk、Wal-Mart Technology、米国国家安全保障局、Boeing、Facebook、Microsoftといった多数の企業や組織が名を連ねている。
「CyberPatriot」は、Air Force Associationが企画した「National Youth Cyber Education Program」(国家青少年サイバー教育プログラム)だ。これは、米国の高校生に、サイバーセキュリティのキャリアや米国において将来重要な他の分野(科学、技術、工学、数学)を目指してもらうことを目的としている。CyberPatriotは、米国、カナダ、関係する米国準州に3300を超えるチームを保有し、その内の570チームはカリフォルニアにある。現在の中高生が大学に入学するまでには、サイバーセキュリティに関する経験を今の大学生よりも多く得られる。
NCCDCやCyberPatriotは、どちらもハッキングや防護策に関するサイバーセキュリティに関する技術力の訓練だけでなく、基本的な道徳倫理や責任についても教育している。NCCDCでは、自尊心、決断力、チームワーク、目的意識、道徳基準を繰り返し教える。こうして、才能あふれる若者が将来的に、願わくばサイバーセキュリティのキャリアに進むように、彼らの心を導いている。
では、この崇高な努力を支援するために企業は何ができるのだろうか。1つに、これらの大会や米国の安全を強化する未来のサイバーセキュリティ人材を育成する組織のスポンサーになる方法がある。
若者は放っておくと、その情熱を誤った方向に向けて、ハッカーやサイバー犯罪者になる危険性がある。NCCDCやCyberPatriotなどのプログラムは、サイバーセキュリティのキャリアに、より壮大かつ気高い独創性があることを参加者に証明している。私たちの未来はミレニアル世代にかかっている。学校の進路指導員、両親、教師といった教育者は、本稿で紹介したプログラムを知っておくべきである。さらに企業や政府がその後押しをすることによって、未来は誰にとっても今より実りあるものになり、安全なものになるだろう。
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