2016年06月16日 08時00分 UPDATE
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世界規模プロジェクトの全貌46カ国同時! ロールス・ロイスのクラウド人事システム導入記

ロールス・ロイスは、46カ国で4万人以上の従業員を管理する人事システムの入れ替えを行った。2012年に始まったプロジェクトのクライマックスは、46カ国で同日に実施するという驚くべきものだった。

[Bill Goodwin,Computer Weekly]
Computer Weekly

 Rolls-Royce Holdings(以下「ロールス・ロイス」)は、数百万ポンドを掛けて4万人以上の従業員を管理する人事システムを入れ替えるプロジェクトを終えた。同社によれば、この費用は2年以内に回収できるという。

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 ロールス・ロイスは、46カ国で使用していた旧態依然としたERPやスプレッドシートを全社的な基幹人事システムに切り替えた。

 このシステムが稼働したのは2015年10月。同システムの新機能を利用すると、将来の採用ニーズの計画や、スキルを備えた既存従業員の効果的な配置が可能だ。

 Computer Weeklyは、ロールス・ロイスの適性管理、適材適所の従業員配置について、同社の人事IT部長マーク・ジャッド氏にインタビューした。

 46カ国で事業を展開するロールス・ロイスは、急激な事業拡大を経て、人事テクノロジーをクラウドに移行するという戦略的決定を下した。

 「基盤となるテクノロジーが足かせとなり、グローバル規模で成長する組織を企業として見渡す能力が損なわれていた」とジャッド氏は説明する。

 そこで、2012年にクラウド人事サービスの評価を開始した。ジャッド氏のチームは小規模プロバイダーを考えていたが、ロールス・ロイスのような規模の企業に対応できるプロバイダーは、SuccessFactors、Workday、Oracleの3社しかなかった。

調査

 ロールス・ロイスはサプライヤーの選択に入る前に、大規模クラウド人事プロジェクトを既に導入している大企業25社を調査した。

 「この時点では、Workdayは採用の見込みが最も低かった。だが、市場の反応を調査するとWorkdayへの期待が大きいと感じて、当社に向いているのではないかと考えた」

 そしてロールス・ロイスはWorkdayと契約を結んだ。さらに、同社初となる全社規模のクラウド導入プロジェクトのアドバイザーとして、Deloitteのコンサルタントを採用した。2014年半ばのことである。

 同社はそれまで、従業員数の多い5つの地域(全従業員の85%が所在)では、SAP製品を使用して人事記録と給与を管理していた。

 従業員が少ない地域では、小規模な人事システムと給与システムを組み合わせて使用していた。ジャッド氏の言葉を借りるなら、無数のスプレッドシートと「Microsoft PowerPoint」ファイルが使われていたという。

 このようにシステムが統一されていなかったことから、マネジャーは全世界の従業員を正確に把できず、従業員のスキルや能力をレポートするのは難しかった。

複雑な設定が要らないソフトウェア

 プロジェクトチームは早い段階からWorkdayを標準構成で利用することに決めていた。

 ソフトウェアのカスタマイズが必要となる法律上の正当な理由がない限り、地域間の違いを最小限に抑えるためだ。

 「当社には非常に優秀な設計の専門家がいる。その専門家の許可が得られた場合のみ設計を変更できる。権威主義と思われるかもしれないが、好意的に受け止められていたようだ」(ジャッド氏)

 人事部門は他部門と協力して社内人事プロセスを見直した。この作業を終えた後、5カ月もたたないうちに各地域で新しいプロセスのテストが行われた。

 「基本に戻るという考え方と、人事に求める業務に真剣に挑戦するという考え方を結び付けた」とジャッド氏は話す。

 ロールス・ロイスの人事とIT部門の担当者20人以上と、ほぼ同数のDeloitteのコンサルタントチームで、15カ月以上をかけてWorkdayの導入に取り組んだ。Workdayが稼働したのは2015年10月のことだった。

ビジネス上のメリット

 Workdayを導入してまだ間もないが、既に同社のマネジャーは組織構造、チームのスキル、経歴、給与などをはっきりと把握できるようになったとジャッド氏は話す。

 マネジャーは従業員の目標を設定し、人事考課を行うこともできる。それまでの人事考課プロセスでは、複数のコンピュータシステムにアクセスし、電話やメールでのやりとりを幾つも行わなければならなかった。

 「これが、最低限解決しなければならない課題だった。だが、今ではこの機能を実現しようと苦労していたのが不思議なくらいだ」

 Workdayを導入したことで、人事担当者は管理サポート業務から解放され、戦略性の高い役割に専念できるようになった。

 「Workdayソリューションの価値の1つは、今までにはない方法で組織を可視化でき、効果的で、持続可能なテクノロジーを導入できたことだ」

プロジェクトの課題

 ジャッド氏にとっては、Workdayのソフトウェアを自社のオンプレミスシステムにリンクし、人事データを整理してクラウドに移し変えることが大きな課題だったという。

 「Workdayを自社環境に接続して、データをオンプレミスシステムとクラウドシステムに対応付ける必要があった。この対応付けが不適切だと、小さなミスも大きな影響につながる可能性がある」

 ジャッド氏は、国単位で段階的にプロジェクトを進めるのではなく、全世界で同日にシステムを稼働させるという大きな決断を下した。

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