「明日はわが身」と考えよ
NASCARレーシングチームがランサムウェア被害、500ドルを支払ってしまった “恐怖”とは
全米自動車競争協会(NASCAR)のレーシングチームは、ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)被害を受け、データ復旧のために身代金を支払い、セキュリティソフトベンダーと提携する事態に至った。
ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)の被害が相次いで報じられる中、今度は全米自動車競争協会(NASCAR:National Association for Stock Car Auto Racing)のレーシングチームが2016年4月にランサムウェア「TeslaCrypt」に攻撃され、数百万ドル相当のデータを失う危険にさらされた。
NASCARのWebサイトによると、レーシングチームのCircle Sport-Leavine Family Racing(CSLFR)では、「200万ドル相当の価値がある特注のシミュレーション手順」を含むデータを失う可能性があったことから、急きょビットコインを集めて身代金を支払い、データを復旧させたそうだ。
※CSLFRはSprint Cup Seriesに95番の車で出場しているNASCARのレーシングチーム
「これまでの努力の成果を全て失うかもしれないと考えただけでも恐ろしかった。奪うと脅されたデータの価値は計り知れない。チームの今後の成功に重大な影響を及ぼすそのデータを抜きにしては、1日たりとも過ごすことはできなかった。われわれの誰も経験したことのない事態で、途方に暮れた。分かっていたのは、もしファイルを取り戻さなければ、何百万ドルもの価値がある長年の成果が失われるということだった」。NASCAR Sprint Cup Seriesのクルー責任者、デイブ・ウィンストン氏はプレスリリースでそう打ち明けた。
NASCARのWebサイトによると、ランサムウェアは、まずWindowsシステムに感染し、CSLFRのユーザーがファイル共有とクラウドストレージの用途で使っていた「Dropbox」を通じて、他のメンバーのコンピュータにも悪意のあるファイルをダウンロードさせて感染を広げた。同チームはビットコインATMから、身代金の500ドル相当のビットコインを引き出すことができた。ビットコインATMは、ノースカロライナ州コンコルドにある拠点からわずか2マイルほどの場所にあった。報道発表の中でCSLFRは、被害に遭ったデータを再生しようとすれば1500時間かかっていたが、身代金を支払うと翌朝には暗号解除キーが入手できたと伝えている。
CSLFRは、身代金を支払った後に、セキュリティソフトウェアベンダーのMalwarebytesと契約したことも発表した。Malwarebytesのマルウェア対策ソフトウェアをインストールして、1万本を超すファイルに感染していたマルウェアを発見、削除したという。両者はさらに関係を深め、2016年の夏にはMalwarebytesが同チームの新しいスポンサーとして登場することになる。
Malwarebytesのマーチン・クレチンスキ最高経営責任者(CEO)は、「CSLFRと提携することを光栄に思う。NASCARのコミュニティーを含む全ての人に対して、ランサムウェアがまさに現実的な脅威だということを力説するためにも」とのコメントを発表した。
2016年に入って注目を浴びたランサムウェア攻撃は、相次ぐ病院への感染や、カルガリー大学での感染、米下院に対するランサムウェアと思われる攻撃などがある。
攻撃者の実入りが増えるほど、ランサムウェア攻撃は増大し続ける。米連邦捜査局(FBI)は2015年、ランサムウェア「CryptoWall」によってその前年に生じた企業の被害総額は、少なくとも1800万ドルに上ったと発表した。だがCyber Threat Allianceは、その年の末までにCryptoWallが手にした総額は3億2500万ドルにも達したと推計している。
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