つながりそうでつながらない
“IoT疲れ”が深刻化 解消の鍵は分断した基盤の融合
多機能なIoTデバイスやクラウドサービスがそろっているはずなのに、1つ作業を行うには複数のデバイスやサービスをユーザー自身が組み合わせる必要がある――ユーザーが感じるIoT疲れを解消するには?
米調査会社のGartnerは、2020年までに世界中で約210億台のコネクテッドデバイスが使用されると予測している。これには、スマートテレビや車載エンターテインメントシステムなどの消費者向け製品、工場で必要なメンテナンスや発電所からの電気を効率的に配分する産業向けアプリケーションを含む。これらのアプリケーションが相互に情報をやりとりする能力は、コミュニケーションの新しい方法を提案し、企業に新規または追加の収益を得る機会を提供する。
しかし、特に産業的観点から見ると、企業が複数のエンドポイント(顧客、パートナー、従業員、アセット)とつながるためのベストプラクティスを模索するに当たり、新しいタイプのプラットフォームの普及は進んでいない。クラウドをベースにしたモバイルファースト戦略への移行は、世界中に広がる顧客、従業員、アセットとの接続を最適化する一方で、状況をより複雑化させている。
エネルギー産業を例に取ってみよう。この業界では、あまりにも多くの組織がアナログで、老朽化した時代遅れのインフラを今でも運用している。そろそろ、公益事業会社は、この“ポンコツ”アセットをデジタルなスマートアセットへ移行する時である。センサーやデジタル制御システムを含む新テクノロジーは、リアルタイムデータを利用した効率的な運用により、発電効率を高めることが可能で、信頼性と最適化向上のための貴重な予測的洞察も提供できる。
その中で産業界が直面している最大の課題は、IoT(モノのインターネット)をサポートするさまざまな技術的オプションが断片化していることだ。多くの異なる通信規格と技術が混在し、それぞれが異なるアプリケーションに適用できることで、IoTのコンセプトに説得力がなくなってきている。実際、調査会社のForresterは2017年、同社のデザインチームが、社内のさまざまなIoTデバイス一式をサポートするために、19以上の新しいワイヤレス接続の選択肢とプロトコルを調査したと説明している。
これはまるで、多くの島々を持つ群島のようなものだ。
分かりやすく説明してみよう。あなたは、予定表に登録されている会議に出席する準備をしており、スマートフォンのGPS(全地球測位システム)を使用して会議開催場所まで車を運転するつもりだ。ただ、駐車場検索アプリでは、到着するまでに20分かかり、離れた場所に駐車する必要があるので、今すぐに出発した方がいいとは教えてくれない。一方Googleマップは所要時間を教えてくれるが、駐車場の状況を教えてくれるわけではない。違うサービスを利用する必要がある。
技術の融合によってアプリケーション間の同期が可能になると、複数のアプリは不要になる。既に、クラウドベースのIoTデバイス管理システムの登場により、複数アプリは不要になり、合理化したプラットフォームを作成できるようになってきている。さらに、今日の通信キャリアは、IoTプラットフォームプロバイダーやサードパーティーのシステムインテグレーターが進めるIoT戦略に注目し、これらの企業と提携している。
コネクテッドネットワークの発展は、国境、業界を超えて影響を及ぼす。例えば、自動車業界は、場所に関係なく、ボーダーレスで制限のないコネクテッドカーエクスペリエンスを提供する機会を提案している。これにより、輸送および物流会社は、新たなコスト効率の向上を実現できる。
ボーダーレスに接続できることにより、航空会社の航空機乗組員は、飛行地点に関係なく、会社のネットワークに接続し続けることが可能だ。また、航空機のIoT対応は、機材の診断や点検修理に役立ち、潜在的には航空機の操縦上の問題が生じる前に、その問題を特定することに役立つ。
私たちは、テクノロジーにより一貫したボーダーレスなコミュニケーションが可能な時代に暮らしている。常につながっているという本質は、これまでに存在していたイノベーションとコミュニケーションの障壁を取り払う。課題は残っているが、私たちは、この融合を可能にするデジタルプラットフォームに向けて明確に移行している。
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