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2018年診療報酬改定に向けて議論進む「遠隔診療」が集患にも“効果あり”な理由
2018年の診療報酬改定では、遠隔診療で医学管理料が算定できるようになるかどうかが注目されています。遠隔診療関連で新設となる点数の要点を解説します。併せて遠隔診療が集患にも効果を発揮する理由を考察します。
前回「診療予約システムは『待ち時間ゼロ』の武器、診療所の待ち時間と集患の深い関係」では集患の考え方として待ち時間と診療予約システム、そして集患の関係について解説しました。今回は、医療機関の“IT武装”による集患の手法「遠隔診療サービス」活用について考えます。
遠隔診療での医学管理
2018年4月予定の診療報酬改定を踏まえ、遠隔診療の評価に関する議論が進んでいます。中でも、遠隔診療で医学管理料が算定できるようになるかどうかに注目が集まっています。
2017年12月1日開催の第375回中央社会保険医療協議会(中医協)総会資料によると、「情報通信機器を用いた医学管理を診療報酬で評価する場合の基本的な考え方」の案として次の項目が挙がっています。
- 特定された疾患、患者であること
- 一定期間継続的に対面診療をしており、受診間隔が長過ぎないこと(注1)
- 急変時に円滑に対面診療ができる体制があること
- 安全性や有効性のエビデンス(科学的証拠)が確認されていること
- 事前に治療計画を作成していること(注1)
- 医師と患者の両者の合意があること
- 上記のような内容を含む、一定のルールに沿った診療をしていること
注1:初診の患者は、当該要件を満たさないため、対象に含まれない。
文面通りに読むと、遠隔診療を保険適応とするには、疾患および受診期間を絞り、治療計画書と患者同意書を必要とするといった算定条件になりそうです。特に安全性や有効性のエビデンスをどのように確認するかが重要になりそうです。遠隔診療サービス側でセキュリティの配慮が求められることでしょう。
「電話等再診」との区別
現在のところ遠隔診療は、現行の診療報酬における区分番号A001「再診料」の注9で算定されています(通称「電話等再診」)。ただし2017年12月1日の中医協資料では、電話等再診と遠隔診療は診察の性格が違うとして、次のように違いがまとめられています。
- オンラインによる計画的な診察と、患者などの求めによる電話等再診とは、目的や趣旨が異なるため、診療報酬を区別してはどうか
- オンラインによる診察の新たな報酬については、前述の「情報通信機器を用いた医学管理を診療報酬で評価する場合の基本的な考え方」を要件にしてはどうか
- 新たな報酬は、対面診察との違いを考慮し、対面診察より低い水準の報酬としてはどうか
オンラインでの診察時間やその頻度にさまざまなケースが想定できるため、新たな報酬は、月1回など算定上限を設けてはどうか、との議論があります。2018年診療報酬改定では新たに、再診料より低く、電話等再診より高く設定した新たな点数が新設となる方向です。
遠隔診療で受診抑制、継続受診
新設となる点数の骨格が見えてきたところで、遠隔診療が本格的に解禁される意味を考えてみましょう。政府が遠隔診療を普及させたい背景には、当面の課題である「医療費抑制」があると考えられます。
医療費を抑えるためには、患者の受診回数を減らすという手もありますが、受診離脱防止(継続受診)による「重症化予防」という方法があります。遠隔診療が普及すれば、外来に来る回数は少なくなるとともに、継続受診がしやすくなり、途中で治療をやめてしまう患者を減らせるのではないかと、政府は期待しているのです。
遠隔診療が集患ツールに
遠隔診療は、患者が診療所を選択するプロセスを変えていく可能性があります。マーケティング戦略において、「4P」という考え方があります。4Pとは、Product(商品・サービス)、Price(価格)、Promotion(販促活動)、Place(立地)の頭文字をとったものです。これらの4点が優れている診療所に患者は集まるという考え方です。
遠隔診療というサービスにおいて距離や立地は大きな問題ではなくなります。その上で、料金は外来よりも安く設定し、待ち時間もなく、サービスの質が一定であれば、外来診療よりも遠隔診療を選ぶ患者も出てくるでしょう。定期的に通院が必要な人、待たずに受診したい人、何らかの理由で来院が難しい人などを中心に遠隔診療の普及が進んでいくのではないでしょうか。
さらには「クレジットカード決済」や「処方箋の郵送」といった、遠隔診療とともに普及が期待されている新しい動向が受診行動に変化を起こすことでしょう。
遠隔診療の普及はその先にある、PHR(Personal Health Record:個人が自分の健康情報を収集、活用できる仕組み)やデータヘルス(データを基に効率化した保険事業)、処方箋の電子化などとも密接に絡んでいます。
このように考えると、遠隔診療はあらゆる医療機関にとって対岸の火事ではありません。遠隔診療は、患者の受診行動の流れを大きく変える可能性があるのです。将来は、患者が診療所を選択する理由に「遠隔診療」「クレジットカード決済」「処方薬の配達」などが加わってくることが予想されます。
次回は、2018年度の診療報酬改定(骨子案)にも盛り込まれた「医療分野における働き方改革」を取り上げます。
著者紹介
大西大輔(おおにし・だいすけ)MICTコンサルティング
一橋大学大学院MBAコース修了。医療コンサルティング大手に入社。2002年に医療IT機器の常設展示場「MEDiPlaza」を立ち上げ、企画運営、スタッフ指導、拠点管理などを担当。2016年10月に医療ICT専門コンサルタントとして独立し、MICTコンサルティングを設立。医療機関向けシステムの開発アドバイス、導入アドバイス、医療IT人材の育成などを行う。過去2000件を超える医療機関へのシステム導入の実績から、公的団体を中心に講演を多数実施している。
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