Interview
マーク・マイナシ氏、Vistaの新機能を語る
Windows Vista発売に向けて、「Windowsの導師」のマーク・マイナシ氏にVistaのセキュリティ機能などについてインタビューした。
マイクロソフトは間もなくWindows Vista 2007、Exchange Server 2007、Office System 2007をリリースしようとしている――いずれも11月30日、ニューヨークのナスダック株式市場で開催の出荷記念イベントでスティーブ・バルマーCEOが発表する予定だ。
先ごろラスベガスで開催されたイベント、Microsoft Exchange Connectionsでは、正式発表に先駆けてこれらの製品が紹介された。TechTargetはこの会場で、ベテランITコンサルタントで、Windowsに関する著書を多数執筆しているマーク・マイナシ氏にMicrosoftの一連の新製品について聞いた。
―― なぜマイクロソフトの次世代製品にアップグレードする必要があるのでしょうか。
マイナシ 1つには、マイクロソフトがVistaで驚かせてくれたからです。昨年の今ごろVistaについて聞かれたら、わたしはVistaの機能は見掛け倒しだと答えたでしょう。ところが今年の2月に、(2007年のLonghorn Serverリリースまで)お目にかかれないと思っていたセキュリティ技術の多くがVistaに搭載されることが分かりました。Vistaの第一の使命は古いアプリケーションにいったん区切りをつけることですが、IT関係者はこれを歓迎すると思います。
―― IT関係者が歓迎すると思うのはなぜですか。
マイナシ わたしたちは皆、Windowsはセキュアではないと言ってマイクロソフトを責めています。でも、このVistaには数百ものセキュリティ設定があります。デフォルトのセキュリティ設定のままでも使えますが、すべての機能を有効にすれば、Vistaは非常にセキュアなOSになるでしょう。
―― そうしたセキュリティ機能の追加を歓迎しない人はいますか。
マイナシ マイクロソフトは「フォーチュン500社」の意向を気にし過ぎだと思います。ああした大企業には、数千もの古いアプリケーションがごちゃ混ぜ状態になっています。マイクロソフトは窮地に陥っています。なにしろ大企業は、プログラムをもっとセキュアにしろと言いながら、セキュリティが原因で多くのアプリケーションが使えなくなると文句を言うのですから。
―― ではマイクロソフトはどうすればいいのでしょう。
マイナシ 例えばここに、一方に回すとセキュリティを100%に、反対側に回すとアプリケーションの互換性を100%にできるダイヤルがあったとします。マイクロソフトはセキュリティ側にめいっぱい回すべきだと思います。たとえそうすることで大企業を怒らせることになっても、マイクロソフトはこれを断行し、そうせざるを得ないのだとあやまるべきです。今年、マイクロソフトはこのダイヤルを真ん中あたりにしていたようですが、ここ数カ月でセキュリティ側にかなり回しました。なぜなら、大企業のサポート担当者がアプリケーションの結果に満足できなかったからです。マイクロソフトはいままで同社がリリースしてきたどのOSの場合よりも、セキュリティ側に寄っていると感じます。
―― Vistaの機能で特にお気に入りのものはありますか。
マイナシ Windows Integrity Controlは気に入っています。これは従来Mandatory Integrity Controlと呼ばれていたものです。政府の「トップシークレット」や「コンフィデンシャル」といった秘密区分のようなもので、ファイルを高・中・低にレベル付けします。いったんレベル付けしたら、変更はできません。例えば、「低セキュリティ」とされたファイルがインターネットから送られてきても、このファイルは「高」レベルの個人ファイルにアクセスできません。こうしてファイルをマルウェアから守るわけです。最初は「なんだって? 自分のPCにいじれないものがあるなんて」という感じでしたが、今では、このケースにかぎってはいいことだと思っています。
―― ほかには?
マイナシ 新たにCrimsonと名付けられた機能もお勧めです。これは「Windows イベントビューア」を改良したものです。最も良くなった点は、新しいWindows Remote Managementシステムを使うことにより、Crimsonを使って多くのシステムからのイベントを1台のPCに集約することができることです。すべてのイベントログからデータを集め、1つのフォルダに入れて参照することができます。イベントログ収集の悪夢から解放されるのです。
―― 急いでVistaを採用すると思いますか。
マイナシ 恐らくそうはならないでしょう。でも、それは、最大の障害が現在既にユーザーのデスクトップにあるからです。マイクロソフトの最大の競合はマイクロソフト自身です。
―― あなたは今度のVistaのセキュリティ機能は向上したと指摘しました。それはつまり、マイクロソフトが「Trustworthy Computing」戦略での約束を果たしたと考えているということですか?
マイナシ 年に12回、(火曜日の月例パッチのたびに)PCを再起動させなければならない。なぜマイクロソフトは、こんなことが必要ない製品を作れないのか、わたしには理解できません。マイクロソフトのOSがウイルスやマルウェアに最も狙われやすいOSであり、それは困難で複雑な問題であることは分かりますが、問題解決のためにユーザーに再起動させないようにできないの恥ずべきことだと思います。
―― マネージドサービスをさらに強化する必要があると思われます。通常アプリケーションサービスプロバイダー(ASP)と呼ばれているものです。ASPの人気は高まると思いますか。
マイナシ 特定の人にとっては有用だと思います。米国の企業の大部分は従業員25人以下で、それより小規模な会社も数多くあります。そうした企業にはIT専任スタッフがいないことが多いので、その場合は有用でしょう。
―― マイクロソフトがこれほどのファットクライアントをリリースするのは今回の一連の新製品で最後だと思いますか。
マイナシ とんでもない。メールとOfficeとインターネットにしか使われていない1億台ものPCがあるとすれば、そうしたPCのユーザーはシンクライアントになど興味を持たないでしょう。シンクライアントでは、CATVやDSLがダウンするたびに使えなくなるのですから。
シンクライアント製品の多くは、電力や回線などのサービスが長時間切断されるようなことのめったにない都心で暮らしたり働いている人向けに設計されています。しかし、実際には地方に住んでいる人が多いのです。そういう人はたとえインターネットにつながらない状態になっても働き続けられることを望むでしょう。
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