Column
モバイルワーカーのSkype利用は是か非か
企業は、モバイルワーカーがSkypeを使用するのを許可あるいは推奨すべきなのだろうか。幾つかのシナリオを検討してみよう。
多くの企業では社内での通信コストを削減するために、VoIP(Voice over IP)を導入し、同一の社内ネットワークに音声とデータを統合している。しかし社外では、VoIPの費用便益の方程式は異なる。モバイルワーカーが従来の携帯電話を使おうがVoIP電話を使おうが、ISPあるいは通信事業者への支払いが発生する。数百万人に上るSkypeユーザーが感じている最大のメリットは、遠距離通話の割増料金が不要になることだ。多くのモバイルワーカーは今日、社外ではSkypeなどのインターネットVoIPサービスを利用することにより、莫大な長距離通話料金の発生を防いでいる。だが企業は、モバイルワーカーがSkypeを使用するのを許可あるいは推奨すべきなのだろうか。幾つかのシナリオを検討してみよう。
1. 従業員が私物の端末で社内ネットワークを利用してSkype電話をかける場合
どんなリアルタイムプロトコルでもそうだが、Skypeも帯域幅を消費する。Skypeの音声トラフィックは暗号化されているため、企業はSkypeが社内のファイアウォールを通過させるコンテンツをコントロールしたり検査したりすることはできない。
Skypeの「スーパーノード」は、ファイアウォールのパフォーマンスおよびWANの帯域幅に大きな影響を与える。なぜなら、スーパーノードはSkypeユーザーが互いに相手を見つけるための通信ハブとして機能するからである。言い換えれば、Skypeはネットワークとシステムリソースを全世界から拝借することによって、発信者側のコストを下げているのである。あなたは、自社のネットワークがこの目的のためにリソースを寄贈することを望んでいるだろうか。
2. 会社所有の端末にSkypeソフトウェアをインストールする場合
Skypeはインターネット上で通信するプロプライエタリなP2Pプログラムである。つまりSkypeは、ほかの商用P2Pプログラムを従業員がインストールするのを許可することに伴うのと同じリスクをもたらすということである。例えば、従業員はフィッシングメールや偽のSkype「ヘルパー」ソフトウェア/サービスにだまされないよう警戒しなければならない。不要な電話を防ぐために、コンタクト/承認リストを使用するとともに、Skypeの公開プロフィールに掲載する情報については分別をわきまえるよう従業員を指導する必要もある。また、ほかのSkypeユーザーから受信したファイルをスキャンしたり、Skypeのバグを悪用しようとするパケットをブロックしたりするために、ウイルス対策ソフトやパーソナルファイアウォールを使用しなければならない(現在のバグリストについては、cve.mitre.orgのSkype情報あるいはスカイプ自身のセキュリティ情報を参照のこと)。
3. 業務上の通話やインスタントメッセージにSkypeを使用する場合
従業員がSkypeを使用して、業務上の通話やデータ通信を行う場合には、Skypeが会社のセキュリティポリシーを満たしているかどうか確認しなければならない。多くの企業では、データについては詳細なポリシーを定めているが、音声トラフィックについては通信事業者が十分なセキュリティを提供しているものと安易に仮定している。VoIPをはじめとする各種のリアルタイム通信プロトコルは数々の新たな脅威を生み出しているため、新しいビジネスリスクに対処するには頻繁なポリシー変更が必要となる。加えて、Skypeが独自の暗号化アルゴリズムと標準の暗号化アルゴリズムを独自に組み合わせたプロプライエタリなプロトコルを使用していることも、厄介な問題だ。スカイプのWebサイトによると、Skypeは256ビットのAES(Advanced Encryption Standard)暗号化および「AESの対称鍵の交渉用に1024ビットのRSA」を使用している。スカイプがこれらの暗号化方式とプロプライエタリなアルゴリズムを具体的にどう適用しているのかについては、どのような標準にも規定されておらず、一般にも公開されていない。また、Skypeは標準ではないため、独立した研究機関がスカイプの実装にバグや固有の脆弱性が存在しないことを公式に証明することはできない。
本稿筆者のライザ・ファイファー氏は、ネットワークセキュリティ/管理技術を専門とするコンサルティング会社、コアコンピタンスの副社長である。同氏は20年あまりにわたり、データ通信/インターネットワーキング/セキュリティ/ネットワーク管理製品の設計、導入、評価に携わってきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー