まずはデータソースの洗い出しから
BIを支えるデータ統合の実践ポイント
BIプロジェクトでは、データ統合を的確に行わなければ何種類ものデータを管理することになり、深刻な文化的問題に直面してしまう。
ビジネスインテリジェンス(BI)の取り組みを阻害する要因はいろいろある。だが、その最たるものは、最初の段階でデータ統合に関する重要な考慮事項を検討しないことだ。
専門家によると、データソースとデータ利用者を結ぶデータ統合は、まさにBIの基盤を成すものだ。だが、データ統合を成功させるのは容易なことではない。お粗末なデータフィールドラベルの設定やデータソースの散在といった問題が成功の障害になる。BIを適切に行うには、データ品質に特に注意しながらデータソースを慎重に選択するとともに、データが最終的にビジネスでどのように利用されるかを理解しなければならない。
「BIではデータ統合が肝心だ」と、コンサルティング会社Conversion Services Internationalの情報管理担当上級副社長ウィリアム・マックナイト氏は語った。「的確にデータ統合を行わなければBIの効果は得られない。何種類もの帳簿を管理することになり、意味上の問題など、BIの成功を妨げるさまざまな深刻な文化的問題に直面してしまうだろう」
BIの取り組みを成功に導くには、データ統合に関する重要な考慮事項に注意しなければならないと、マックナイト氏とBIコンサルティング会社Athena IT Solutionsの創業者リック・シャーマン氏は話している。
厳密なデータ定義
BIユーザーは多くの場合、ビジネスへの洞察を深めるためにデータをドリルダウンしようとする。BIのデータ統合プロジェクトの最初のステップは、自社データを細部まで理解した上で、データ定義を社内で統一することだと、マックナイト氏は語った。そうすれば、ユーザーはデータを掘り下げる際、共通の枠組みに依拠することになる。
例えば小売業者の場合、「顧客」は具体的にどのように定義されるのか。個人か、あるいは世帯全体か。既存購入者の世帯のほかのメンバーが購入した場合、その人は新しい顧客なのか、あるいは世帯単位の既存の顧客アカウントの一部なのか。BIシステムにデータを統合する前に、こうした問題に答えを出さなければならないと、マックナイト氏は述べた。どのような答えを出すかは、主に会社のビジネスモデルや企業文化に左右される。
データソース間の違いの吸収
次のステップは、データベース、データウェアハウス、スプレッドシートなど、データソースを洗い出すことだ。異なる部門が重複する情報を含む独自のデータベースやスプレッドシートを使っている場合が多く、その実態を把握することは重要だ。こうしたデータソースはデータ品質の問題を招きやすいからだ。
「データの一元管理を行わずに成長してきた企業が、ビジネスを包括的に可視化するためにデータ統合に取り組もうとするケースが多い」とマックナイト氏は語った。「こうした企業では、部門ごとに異なる形式で運用されているデータがあり、各部門が正式に、あるいは勝手にIT担当部門を設置していることもある」。データ統合を行う前に、こうしたさまざまなデータソースを調整しなければならないという。
Athenaのシャーマン氏も、データ統合の取り組みにおけるデータ品質の重要性を強調した。BIシステムの導入前は、個々のビジネス部門のユーザーが、目的に合わせて日常的にデータに変更を加えているだろうが、それらの変更はほかの部門には反映されていないだろう、と同氏は指摘した。そうしたデータが部門内でのみ使われるなら、それでも問題はない。だが、全社のデータにアクセスするBIシステムは、そうしたデータをそのまま受け入れると台無しになってしまう。
「BIシステムはデータを操作し、データ品質の問題、つまりデータの不整合や、特定したデータエラーを修正する」とシャーマン氏。「BIの取り組みを始めると、さまざまなシステムからのより詳細なデータを調べたくなる。そこでデータ品質の問題が浮上してくる」
BIステークホルダーの声を反映する
データ品質の問題に対処するとともに、経営幹部とアナリストの声に耳を傾け、彼らがBIのリポート、分析機能、ダッシュボードをどのように利用しようとしているかを見極める必要もある。
「こうしたBIのステークホルダーのためにデータソースを適切に選択しなければならない」とマックナイト氏。「また、社内で利用できるデータソースの選択肢をステークホルダーに理解してもらうことも必要だ」
データがどのように利用されるかを理解することは、BIのデータ統合の成功に不可欠だと、シャーマン氏も口をそろえる。だが、データのライフサイクルを理解することも同様に重要だという。
「データのライフサイクルは、ビジネスプロセスと非常に密接に関連している」とシャーマン氏。例えば、メーカーが利用するデータの作成から廃棄までのプロセスは、小売業者が利用するデータとは非常に異なる。同じ業種内でも、データライフサイクルは大抵の場合、企業によってさまざまだ。シャーマン氏とマックナイト氏は、BIのためのデータ統合をライフサイクルのどの段階で行うべきかを知ることは、大きな成功要因の1つだと語った。
両氏は、「データソースの選択肢が明確になり、データ品質の問題が解決され、BIがビジネスでどのように利用されるかが確定して初めて、企業はBIシステムへのデータ統合を実際に開始できる」という認識で一致している。
一部のBIプロジェクトが非常に長期化し、場合によっては9カ月から1年、あるいはもっとかかるのは、「データの定義や使い方をビジネスユーザーに決めてもらうことに加え、データ品質の確保、そしてデータガバナンスのルール策定に手間取るからだ」とシャーマン氏。「これは、BIでは極めて高度なデータ統合が必要なためだ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー