現場のサバイバルテクニック
IT部門の「最後の1人」になっても業務効率を維持するには
限られたリソースでIT部門の業務効率を維持し、生き残るためのキャリア管理テクニックを紹介する。
今日の不景気の中で、ITマネジャーは自分がIT部門で“最後に残された人”のように感じているようだ――実際、そういったケースもないわけではない。もしあなたもそのようなITマネジャーの1人だとしたら、責任の重圧で押しつぶされそうになり、孤立無援の状態に置かれたあなたの現在の任務は、IT部門の業務効率を維持することである。IT部門に最後に残された1人(あるいは最後のスタッフ)として何をなすべきかという判断を迫られている人に対して、わたしは通常、長期的なソリューションに目を向けるようアドバイスするが、今日の状況では短期的なソリューションも必要だ。
ITプロフェッショナルが今日の職場で生き残るためのキャリア管理テクニックを幾つか紹介しよう。
時間を浪費しない
わたしがセキュリティ評価を実施して分かったのは、ビジネスリスクを生み出すのは、技術面での脆弱性や運用上の不注意などではなく、勤務中に時間を浪費している人々であるということだ。あなた(あるいはほかのスタッフ)が仕事に無関係の資料を読んだり、LinkedInやFacebook、Twitterなどのサイトで「自分が今やっていること」をほかの人に話したりするのは、貴重な時間を無駄に費やすことにほかならない。
Windowsを中心とするIT部門のシステムをトラブルなしに運用、維持管理するためには、何よりもまず、すべての人から見られているのだという気持ちを持って仕事をすることが大切だ。言い換えれば、1日を通じて常に自分の時間を最も有効に活用するということである。1分1秒、一挙手一投足さえもおろそかにはできないのだ。
今あるもので間に合わせる
大局的に見れば、あなたの会社ではWindows VistaあるいはWindows Server 2008にアップグレードする必要がないかもしれない。新しいコンピュータを購入する必要もないかもしれない。大抵の場合、こういった“華美な”プロジェクトは先送りすることができるのだ。
既に持っているシステム、ソフトウェア、ツールに目を向けること。Windows、IIS、Exchange ServerなどのOSやアプリケーションに付属する無償の管理ツールやセキュリティツールを活用していない人が多い。悲惨ともいえる今日の状況にあっては、あなたは手持ちのツールでも間に合うことに気付くことだろう。それがコスト削減とあなたの仕事の維持を意味する場合は、なおさらそうだ。
ITの基本を重視する
困難な状況を切り抜けるには、基本を守ることが大切だ。具体的には、パッチの適用、ディスクのデフラグ、バックアップの実行、Active Directoryのメンテナンス、SQL Serverシステムの調整といった作業を怠らないことだ。厳しい不況の中にあっても、あらゆるものには波があるという事実を見失ってはならない。景気が改善してくれば、新しいプロジェクトに時間を注ぎ込み、システムを新たなレベルに引き上げることができるようになるのだ。
仕事場および機器を整理整頓する
乱雑で散らかった仕事場は、ストレスの増大と集中力の低下を招くことが調査で明らかになっている。「わたしにはその方が合っている」という人もいるが、効率的かつ効果的に仕事をするには整理整頓が必要であることは実証済みだ。同じことはコンピュータについてもいえる。Windowsのデスクトップと電子メールの受信ボックスを整理整頓するとともに、Windowsデスクトップ上と電子メールソフト内にフォルダ構造を作成すれば、何がどこにあるのかすぐに分かるので仕事の効率が向上する。
また、コンピュータには十分なメモリを搭載すること。HDDのデフラグを定期的に実施する必要もある。古い電子メールやドキュメントを参照する必要が生じたときには、「FileLocator Pro」や「Windows Search」などのツールを利用すれば、時間を大いに節約できる。
すべてのボールを受け止める必要はない
リチャード・カールソン氏(訳注:米国の心理学者)は、時間の管理に関して非常に深遠な原則を述べている――「誰かがあなたにボールを投げてきても、それを受け止めなくてもいい」というものだ。
あなたが忙しいときには「ノー」(あるいは少なくとも「後で」)と言えるようにならなくてはならない。もちろん、要求を出した人の気持ちを理解すべきではあるが、それが急を要する事柄でなければ、必ずしもその人の要求に対応するために、あなたが現在行っている作業を中断する必要はない。同様に、かかってきたすべての電話に答える必要もなければ、あらゆる電子メールに直ちに返事をする必要もない。いったん作業が中断されると、中断前と同じレベルの生産性に戻るのに約20分かかるのだ。
1つの作業にだけ集中することにより、毎日何時間にもわたって生産的な仕事をすることができる。最も重要なのは、1日を通じて何度か心理的休息を取り、いったんオフィスを離れたら、ITにまつわる苦労を一切忘れることだ。そうしないと必ず行き詰まってしまう。
緊急かつ重要な業務に専念する
ITマネジャーの「未処理箱」の中には、膨大な数の案件が山積みになっているはずだ。しかし厳しい目でToDoリストを見れば、本当に重要な事柄はわずかであることが分かるだろう。今やらなければならない仕事(緊急案件)はどれで、最も重要度が高い仕事(重要案件)はどれなのかを判断する必要があるのだ。もしあなたがIT部門で最後に残された人であるとしたら、小さなことにかまけているわけにはいかない。合理的な目標を設定し、最大の見返りが期待できるタスクに専念することが、わずかなリソースでより多くの成果を得るためのカギである。
景気の先行きが不透明な今日、あなたは孤独感を抱いているかもしれないし、実際にIT業務で物理的に孤立無援の状態に置かれているかもしれないが、それでも人々はあなたを見ているのだ。あなたが行うほぼすべての業務に経営陣を関与させることが大切だ――たとえ彼らが関心を持っていないように見えてもだ。あなたが絶えず仕事をしており、あなたがいかに貴重なITプロフェッショナルであるかを経営陣に示すことが、信頼と尊敬を獲得するための効果的な手段なのだ。そしてそれこそが、あなたが今置かれている窮地から脱する方法なのかもしれない。
本稿筆者のケビン・ビーバー氏は、米アトランタにあるPrinciple Logicを経営する独立系情報セキュリティコンサルタントで、執筆、講演も手掛ける。情報セキュリティに関する7冊の著書および共著書がある。例えば、「Hacking For Dummies」「Hacking Wireless Networks For Dummies」(以上Wiley刊)、「The Practical Guide to HIPAA Privacy and Security Compliance」(Auerbach刊)など。また、IT担当者が外出先でもセキュリティを学習できるオーディオプログラムセット「Security on Wheels」も制作、提供している。
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