在庫管理ソフトウェアの導入だけでは不十分
製造業の在庫管理における5つの課題とその対処法
製造業の在庫管理における最も一般的な課題として、アナリスト、ベンダー、ユーザーが共通して挙げた5つの課題とその対処法を紹介する。
在庫管理は製造業にとって頭の痛い問題であり、業務効率、顧客満足、収益などにも影響を及ぼす。また、在庫管理ソフトウェアを導入するだけでは、必ずしもすべての課題が解決するとは限らない。
今日の在庫管理ソフトウェアは、利益率に応じて在庫を仕分ける機能や、SKU(Stock Keeping Unit:在庫管理における単品単位)レベルでの安全在庫量の算出など、非常に高度な機能を備えているが、対処すべき在庫管理の課題はほかにもある。専門家らによると、効果的な在庫管理は需要予測と不可分の関係にあり、従来は別々だった需要計画部門と在庫管理部門のスタッフとシステムが互いに連係する必要があるという。
在庫管理における5つの課題
「在庫管理における最も一般的な課題は何か」という質問に対して、アナリスト、ベンダーおよびユーザーの間で答えが共通したのは5つのテーマだった。これらの課題はいずれも、業務に精通した担当者に正確な情報を適切なタイミングで提供することに関連したものだ。さらに彼らは、これらの課題を克服するためのヒントとアドバイスも示してくれた。
1. 需要計画と在庫計画の連係
従業員、システム、データは、それぞれ互いに対話するようにしなければならない。それには、ダッシュボードなどの支援ソフトウェアを利用した本格的な販売・事業計画(S&OP:Sales&Operations Planning)戦略が役立つ。経営幹部が統括する需要・供給計画部門を創設することが必要になる場合もある。
専用の需要計画ソフトウェアと在庫計画ソフトウェアを、ERPなどの関連システムに連係することが必要であり、これは新たなチャンスにもつながる。ソフトウェア業界はこれまで、この課題に十分に対処してこなかった。ベンダー各社は、既存のSCM(サプライチェーンマネジメント)システムに自社のソフトウェアを連係することに多くの時間を費やしていることを認めている。
AMR Researchのノーハ・トハミー副社長は「あらゆる部門の言語を話せる1つのツールが必要だ」と話す。
2. ユーザー教育
従業員の中には、需要予測はまったく未知の領域という人もいる。在庫管理ソフトウェアの導入に成功した企業が強調するのは、従業員にソフトウェアを使わせる前に、その基盤となる手法を教育することが重要だということだ。
自社の新しいプランニングプロセスの狙いを周知するには、Webセミナー、スライドショー、講習などの手段が役立つ。ユーザーが在庫管理ソフトウェアの使い方に慣れるようにするための手段として、最も手っ取り早く、かつ最も安価なアプローチは、教育担当者を教育することだ。
ベンダーを選定するに当たっては、ソフトウェアの使い勝手も重要な基準とすべきだ。ユーザーには、あまり多くのことを一度に要求してはならない。基本的な機能からスタートして、徐々にスキルを構築させるようにすべきだ。
3. 経営陣の意識改革――表計算ソフトや紙を捨てる
在庫管理担当者は、自分が慣れ親しんだ方法に固執する。彼らを新しい在庫管理ソフトウェアに移行させるには、表計算ソフトの使用を禁止するといったことが必要になるかもしれない。信頼関係を構築し、スムーズな移行を実現するには、ユーザーとひざを交えて話し合い、新しいソフトウェアの利点を示す必要がある。皮肉なことだが、まだ紙を使って仕事をしているという担当者には、Microsoft Office Excelを使って在庫管理ソフトウェアをシミュレートしてみせるのが効果的かもしれない。
ITとビジネスの両面で経営幹部が改革をリードすべきだ。ソフトウェアが使いやすければ経営陣の賛同も得やすく、社内の意識改革を進めやすくなる。
4. データの標準化
購買注文や製品分類といったデータ定義が多過ぎるために、移行に失敗した企業もある。データの定義を標準化することは、複数の部署や事業所で一元的に利用できるアーキテクチャを構築する上で重要なステップだ。
システムに入力される販売データや在庫データをクレンジングするために、レガシーデータの変換や、必要な情報を収集するアプリケーションの作成といった作業が必要になる場合もある。
5. 適切な需要計画・在庫管理モジュールの選択
自社製品の需要の特性によって必要なコンポーネントが決まってくる。商品の海外発送に高い費用が掛かる、あるいは出荷の遅れが利益の喪失につながる可能性があるといった企業であれば、売り上げデータに基づくリアルタイム更新機能を備えた高度な需要計画ツールが不可欠だ。しかし、販売が大口契約を主体とする企業の場合は、在庫管理ソフトウェアの方を重視すべきだろう。
本稿筆者のデビッド・エセックス氏はフリーランスのライターで、BYTE、Computerworld、PC Worldなど多数の出版物やWebサイトにIT関連記事を寄稿している。
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