NEWS
「遅延2ミリ秒以下」――東証が高速大量データ通信システムの導入成果を公表
1月4日に運用開始した東証の新株式売買システム「arrowhead」は、高速ネットワーク基盤「arrownet」とともに99.999%の可用性を確保し、順調に稼働している。
東京証券取引所(東証)は3月8日記者会見を開き、1月4日に運用開始した新株式売買システム「arrowhead」とそれを支えるネットワーク基盤「arrownet」について、現在のシステム稼働状況を発表した。
新株式売買システムarrowheadをサポートするarrownetは、証券取引、オプション取引、デリバティブ取引において、東証の全業務システムと取引ユーザーや外部機関などをつなぐバックボーンネットワークだ。東証はarrownet構築に際し、ジュニパーネットワークスのマルチサービス・エッジルータ「M 320」「M 120」と同社のネットワークOS「Junos」を採用。アクセスポイントから各業務システム間のレイテンシー(遅延)が2ミリ秒以下という高速・大容量データ通信を実現するMPLSネットワークを構築した。構築費用はおよそ20億円。アクセスポイントとデータセンターを結ぶ高速回線にはWDM(光波長分割多重装置)を用いたリング型の光ファイバー網を使用し、10Gbpsの広帯域を実現した。
arrownetの特徴は「高速性」「信頼性」「拡張性」。東証のプライマリサイトからセカンダリ(バックアップ)サイトへのフェイルオーバーは、ユーザーに意識させることなく切り替えが可能だ。また、2カ所のアクセスポイントへ利用者接続回線を分散収容することで、取引参加者の負担を軽減するように作られている。こうして、99.999%(ファイブナイン:5年間で10分程度の停止時間)の可用性を確保した。
東証は、データセンター内に証券会社のシステムをコロケーション(設置)し、システム間のレイテンシーを最小化するコロケーションサービス提供する。また、arrownetのデュアルアクセスポイントを経由した各証券会社オフィスおよびデータセンターへの接続サービスも提供する。さらに、海外拠点からの接続も可能になった。
東証 常務取締役 CIO 鈴木義伯氏によると、arrownet稼働後は、市場の流動性に変化が見られたという。約定回数を表すTICK回数が、arrownetシステム稼働前と稼働後で2倍程度に増加している。「注文回数と約定回数が増えたのは、取引がしやすくなったということ」(鈴木氏)
また鈴木氏は「東証のシステムは取引のしやすさだけでなく、注文数・約定数をどれだけ早く大量に配信できるかが肝」とし、情報配信件数の変化についても触れた。2009年12月21日の1日合計電文出力数(216万8495件)に比べ、2010年1月7日の1日合計電文出力数(762万3488件)は約3.5倍に増えた。鈴木氏は「arrownetによって相場をより細かくユーザーに配信できるようになった」と話す。
東証の今後の展開については「売買システムのさらなる高速化へ対応し、ユーザーの要望に応じた多様なネットワークインタフェースを提供していく。東証の取引ユーザーの6割は海外。今後もICTシステムを高度化して海外の取引ユーザーをもっと取り入れていきたい」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[コパード株式会社] 約9割が負担を実感 Salesforceのテスト業務に関する実態調査で見えた課題とは -
市場調査・トレンド
[コパード株式会社] 「Salesforce」開発・運用におけるAI活用実態調査レポート -
事例
[テクバン株式会社] 1画面でITサービスデスク業務が完結 太陽ホールディングスに学ぶデバイス管理 -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] ライセンス無料 Drupalベースの「多言語ECサイト開発用パッケージ」の実力は? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 日本発グローバル企業用Drupal「Risley(リズリー)」の実力とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
4
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
「レガシーシステム・老朽化システムの運用課題と刷新」に関するアンケート
-
8
「業務改善とツール活用」に関するアンケート
-
9
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
10
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の運用管理と統制機能を徹底比較
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
3
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー